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弐拾肆:攻メ

前回半年前ですか…

「ところで」

「ん?」

 ようやく追いついたその背中に声を投げる。

「お昼、どこで食べるか決めてるんですか?」

「えっ?」

「えっ?」

 何故か声が重なる。……もしかして、行き当たりばったり?

「あの、まさかとは思いますが……どこに行くか決めてない?」

「う、うん…」

 ……いやはや、まさかここまで天塩さんが無計画なお馬鹿さんだとは思いもしませんでしたよ。

「天塩さぁん、普通人を誘うときって、まずどこに行くかのプランありきだと思うのですがぁ?」

「だ、だってぇ…」

「だってじゃないです」

 はぁ、もうしょうがないですね……適当にどこかの物陰でも探しますか。

「ほら、何してるんですか。どこか風を避けられるところを探しますよ」

「う、うん…」

 全く、ひとつ見直したと思ったらこれですか。

「というか、なんで外で食べようと思ったんです?そりゃあ教室はみんなの目があるからパスとしても…」

「……なんでだろう?」

 こてんと首をかしげないでくださいよっ、それは私が聞きたかったことなんですから。

「つまり考えなしと。考えなしにこの私をこの寒空に連れ出したと?」

 最早取り繕うのも面倒になって天塩さんにキレかかる。

「だ、だって…」

「だってがなんです?」

「教室にいる司ちゃん、なんとなく寂しそうだったから…」

「さみし、そう?」

 このボクが?どうして?

「……棗ちゃんになってる時にさ、時たま司ちゃんのこと眺めてたんだけど……その時はなんとなく冷めてる感じで、他のことに興味なさそうでかっこいいなぁって思ってたんだけど……今日の司ちゃんは、なんというか構って欲しそうで……クラスの子と話してるのも見たけど、やっぱりなんだか元気ないし…」

「な、眺めてたって……変態ですね天塩さん」

「へ、変なこと言わないでよぉっ!?」

「先に言いだしたのは貴女の方では?」

「そ、それを言うなら司ちゃんだってっ……体育の二人一組の柔軟体操の時にウエストぷにぷにしてきたじゃないっ!?」

「ちょっと待ちなさい」

 うん、全く記憶がないですね。……はぁ、もう。

「一応訂正しときますけど、それは棗の仕業なので」

「そ、それは分かってるけど……」

 というか棗、暴れすぎてませんかね……。なんで入れ替わりを提案した側が入れ替わりを難しくするような真似をするんですか、もう。

「どうして棗ちゃんはあんなにボディータッチとかしてくるんだろう……子供っぽいわたしのことをからかってるのかな?」

「それはあるかもですね、奴はそういうの好きなので…」

 私自身も不思議に思って訊いたことはあるけど、そういう時には決まって彼女はこう返すんだ。「つーならわかるでしょぉ?」、と。結局のところ全然わからないけども。……我が姉ながら奴は分からないところが多すぎて…もうなんだか。……いや、考えるだけ無駄なのか、それとも……

 いや、考えないようにしますか。精神衛生に悪い。それに、

「……あと、棗のことはもう言わないでいただけますか」

 何故だかわからないけど、天塩さんの口からはその名前を聞きたくない。理由はない、んだけど…彼女の口からその名が出る度にぞわりと背中が粟立つ。

「え、どうして?司ちゃんと棗ちゃんでだいぶ違うねって」

「木染さん」

 一歩踏み出して襟元を掴む。そのまま天塩さんごと吊り上げるように、上へ、上へ。

「けほっ、つ、司ちゃ、く、くるしいよっ」

「分かりました、離してあげましょう」

 パッと手を放せばそのまんま自由落下に引かれて尻もちをつく。それを見下すように言い放つのは、

「もし再度棗のことを口にしたら…どうなるかわかりますよね?それともそれもわからない程に天塩さんが御馬鹿であると言うならば……」

 白いお喉を※※しまして、お部屋の片隅お飾りしましょ?

 ねぇ、ボクの※※※さん?


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