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王国の追放貴族、帝国で闇黒騎士になる。  作者: チアキ
1.王国の闇と帝国の光
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7.角兎

 私はまず2号さんに1ヶ月後に戦う聖光騎士団について話をしてもらった。


 「まず彼らは全員が近接戦闘職で超天才で全員努力を惜しまない、そんな人達の集まりです。装備も超一級品です。レベルも全員3桁に達しています。あなたと戦う時は装備やスキルに制限は設けてくれると思われますけど技術はそのままです。」

 「あ、ありがとうございます。2号さん。」


 ダメだ、聞けば聞くほど勝てそうにない。

 ちなみに戦えるのは私だけという訳ではなく、第1部隊に入れる予定の者を参加させても良いそうだ。


 とはいえ私は王国の人間だったからそんな味方を用意できる自信はない。

 負けたら参加者全員がその場で打首だと言うし。


 「ちょっと『冥府の入口』に行ってきます。」

 「自殺ですか?」

 「いやただの戦力増強です。」


 またあの森に行くのには理由がある。

 単純な話レベリングだ。

 あとスケルトンたちを強化したい。


 「あ、3号さん、魔香ってあります?」

 「あるよ、何に使うんだい?」

 「ちょっとレベルを上げに行くので。」

 「使い過ぎるとシャレにならないのが出てくることもあるし、程々にしてね。」


 小さな袋に入った暗い赤の小石。これが魔香の原材料、魔香石。そのまんまだ。

 いやちょっと待て。


 「これ魔香石ですよね。」

 「そだね。」

 「私死にません?」


 まるで神か仏のような頬笑みを浮かべて3号さんは私の背中を押す。


 「君なら大丈夫さ。頑張って!」

 バタン! ガチャ


 有無を言わさず締め出された。

 他にも大きな頼み事をしているだけに文句を言い辛い。

 仕方ないのでこのまま森へ向かう。


 一応日帰りのつもりだが、何のために数日分の食料は魔法袋の中に入れてもらっている。

 魔法袋もなにか仕掛けがないか調べてもらったので安心して使える。



 『冥府の入口』に向かい、森のすぐ側で下準備を始める。

 『霊眼』を発動させ周囲を見渡すと、やはりかなりの数の幽霊が見える。

 とりあえず片っ端から支配下に置く。


 タイタニスさんから聞いた前任者のゴーレム。

 それを少し発展させたものを思いついたのだ。

 それを実行するには霊の数が多い方が良い。


 見える範囲で支配下に置いてない幽霊がいなくなった。

 かなり抵抗する霊もいたが、魔力のゴリ押しで支配した。

 支配した霊たちは一度召喚したスケルトン達と同じく、よく分からない空間へ収納? できるようだ。


 かなりの数の霊を支配下に置いたので、次にスケルトンたちを呼び出す。

 久々に顔を合わせる彼らはどこが嬉しそうに見えた。


 「今日はみんなに頑張ってもらう。君たち全員に強くなってもらわなければ私は死ぬかもしれない。」


 一応スケルトンたちに説明をし、本格的に森へ入る準備をする。

 特殊な方位磁石をタイタニスさんから貰ったので森から出るのには困らない。

 この方位磁石は先程までいた地下施設の場所を指すのだ。


 「『サモン:スケルトン』『エンチャント:アンチシャイン』『サモンウェポン:スケルトン』『サモンウェポン:ブラックスケルトン』・・・・・・。」


 通常のスケルトンを30体と、全員分のエンチャントと武器を召喚した。

 レベルが30を超え、魔力にかなりの余裕ができたといえども流石にしんどくなった。


 今日は以前のような夜間襲撃を、昼間に起こしてレベルを上げさせてもらう。

 3号さんによると、夜にばかり襲撃が起こったのは昼間は『冥府の入口』で最も強いあるモンスターの活動時間なので、本能的に昼間は決して動かなくなるようだ。


 しかし、魔香その物を所持していればその本能を上回るようだ。

 それに今回は魔香石という魔香の上位互換にあたるものを使うのだから、かなりの数が襲撃してくるだろう。


 スケルトン達を配置につかせる。

 私を中心に、私の傍にオーガスケルトン、その周りをブラックスケルトンとシャドウスケルトン、その外側をスケルトン、遊撃としてアサシンスケルトンを。

 そんなふうに、扇状に広がった。


 私自身も手甲と脚甲、スケルトンウェポンを装備している。


 「魔香石は、かなり強力だから一瞬だけでも十分なはず。」


 魔法袋から、魔香石の入った小さな袋を取り出して袋を広げる。

 骨だけのスケルトン達に食欲に作用する魔香石は効かないので、思う存分に使える。

 数秒出しただけで遠くから地響きが聞こえてきたので、直ぐに魔香石を魔法袋へ戻す。


 森から飛び出してきたのは角兎の群れ。


 ただの角の生えた兎だと思ってると痛い目に会いそうだ。

 角が掠めた木の幹が抉れている。


 「『ブースト:ガード』『アースバインド』!」


 スケルトン達の防御力を底上げし、次々飛び出してくる角兎達を柔軟な土の縄が地面へ縛り付ける。

 動けなくなった角兎へトドメが刺されると、別の角兎を縛り付ける。


 ここだと見えにくいな。


 「『アースウォール』!」


 自分の足元から約1メートル程の高さの分厚い壁を2枚重ねて生み出す。

 立方体の土台の上に立った私は、次々に魔法を発動させる。


 「『アースクエイク』!」


 角兎の後続を少しでも遅らせるために細長い範囲をアースクエイクで揺らす。

 アースクエイクを発動し続け後続の邪魔をしつつ、アースバインドを制御する。

 最前線で戦う通常スケルトンはまだ2、3体しか倒れていない。


 だが、あまり減りすぎるのも困るのでブラックスケルトン達を前に出す。

 シャドウスケルトンがいい感じに数を減らしつつ、ブラックスケルトンと通常スケルトンの協力で段々戦闘が安定していく。


 アサシンスケルトンが、時折現れる角兎の上位種と見られる二本角、捻れ角、色違いの角兎をサクサクッと首をはね飛ばすのが見えた。

 私も簡易の土台から狙いを定めて『アースライフル』で一体一体確実に仕留めていく。


 30分程だろうか。

 角兎の群れが途切れた。最前線にいた通常スケルトン達を一旦下がらせ、私の元へ集める。

 魔力は残り4割程度で、その魔力を生き残った21体の通常スケルトンに均等に注ぎ込む。


 やはり十分な経験値を得られたようで、進化することが出来た。

 数分で進化が終わったのだが、今回は外見がかなり変わった。


 なんと今回進化した一部の通常スケルトン達には筋肉が着いたのだ。


 2体がアサシンスケルトンへ進化し、3体がオーガスケルトンに。

 残り16体が、スケルトンの身体に筋肉をつけたグールとなった。


 他にもモンスター達が襲ってこないか、グール以外に警戒させ、私はグールの能力を確かめる。


 グールは単純にめっちゃ強い。

 骨の体に、肉が着いただけなので骨の部分もまだ見える。

 ただ、その着いただけの薄い筋肉の影響力が高かった。


 まず脚が速い。しかし、体力という概念が出来たことが判明。

 パワーもある。しかし、力がありすぎて拳が砕けることもあった。

 その砕けた拳は、五分ほどで再生した。再生能力があることにとても驚いた。

 知能は低い。スケルトンの時と大差ないように感じた。


 そして、グールの『サモンウェポン』は槍だった。

 2メートルを確実に超えているであろう長槍。


 これも骨でできているのだが、グールが柄を掴むと表面がバキバキと割れ、中から肉の紐が現れグールの腕に絡みつくのだ。

 腕に絡みついた肉の紐はグールと一体化しているようで、槍が手から離せなくなった。


 そのまま専用アビリティを発動させたのだが、これが凄かった。


 全身の薄い筋肉が増殖し、人型の筋肉の塊のような見た目になったのだ。

 筋肉ダルマになったグールの性能は凄まじく、木の幹を簡単にへし折り、地面に大穴を開けた。


 数分後、突然みるみる風船のようにしぼみ、元に戻った。

 アビリティの反動なのか、全ての能力下がりった。

 融合していた槍は肉の紐がポロポロと崩れ、グールの手元から離れた。


 グールの性能もわかったのでアンデッド達を戻し、アースウォールで作った土台を崩した。

 3号さんに、殺したモンスターなどは持ち帰ってくれとの事だったので、角兎の死体は全て魔法袋へどんどん入れていく。


 そのまま帰ろうとした時だった。


 「ピキィィィィィィィィッ!!」


 森の木々を薙ぎ倒しながら現れたのは熊のような大きさの角兎だった。

 どう見ても通常個体ではない。

 単純に上位種と考えるのも無理があった。


 上位種というより最上位種なのではないだろうか、と思うほどの風貌だった。


 通常種と同様に、額から伸びる1本の角。

 耳の根元あたりから生える捻れた山羊と同じような2本の角。

 全身に黒い刺青のような紋様があり、口元から僅かにはみ出す牙は短くも鋭く、爪は鋭く地面を抉り目は赤くランランと光を帯びていた。


 「もう魔力残ってないのに・・・!」


 アンデッドを呼び出し、武器を呼び出し、地魔法を使い、進化をさせたのだ。

 いくら魔力が多いとはいえもう大した量は残っていない。


 逃げようかと思ったその時だ。


 巨大角兎が空に向かって飛び跳ねた。

 速すぎて目で追うのがやっとだった。


 巨大角兎は、空を飛んでいた鳥を食い殺し、口元を血で汚したまま地上に降りた。


 逃げられないと悟った。


 またアラクネの時と同じように地中に埋めることも考えたが、元々兎は地中に住処を作る。

 時間稼ぎにもなりそうになかった。


 命の危機をひしひしと感じながら、どうしよう、と思った。

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