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王国の追放貴族、帝国で闇黒騎士になる。  作者: チアキ
1.王国の闇と帝国の光
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11.全身鎧

 私が帝国へ来て2週間が経った。


 レベルは51へ上がり、配下のアンデッドの数は300を超えた。

 当然『サモンウェポン』の武器を持たせている。


 この2週間でさらにスキルを得た。


 新たに天啓で得たスキルは《地操術》の1つ。

 大地の性質を変え、質量を操り、自身を守る全身鎧にできる。

 とても使い勝手が良いスキルで、これを覚えてからはよくお世話になっている。


 そして、『死者融合』で生み出したゴーストキング、ゾンビキング、スケルトンキングの3体から得た3つのスキル。

 申し訳ないとは思ったが、背に腹はかえられぬと犠牲になってもらった。

 一応簡単な墓は作った。


 この三体から得たスキルで私は、幽霊になれて、透明になれて、スケルトンを吸収して強くなれて、傷つけた者をゾンビにできて、ゴースト・ゾンビ・スケルトンをほぼ無限に生み出せるようになった。

 しかしこのスキルで生み出したアンデッドは、『サモン』で呼び出したアンデッドとは違い謎空間に戻すということは出来なかった。


 それでも、これなら聖光騎士団にも勝てるんじゃないか? とも思ったが、リナさんに見せてもらった聖光騎士団の戦績には、A級のモンスターを何体も討伐したりしていた。


 これではまだ勝てないと確信した瞬間だった。


 週に1日は休め、と言われたので今日はのんびりと能力確認をして過ごしていた。


 「アル君! 頼まれてたもの届いたよ!」

 「やっとですか!」


 扉を開けて興奮気味に声を上げたのは3号さん。

 頼んでいたものが予定よりも遅れてしまい落胆していたのが懐かしい。


 「これが今作れる最強の鎧だよ!」


 3号さんの部屋で私を出迎えたのは、黒で統一された厳しい全身鎧(フルプレート)だった。

 そう、これが私が頼んでいた物の1つだ。


 「残りは外に揃えてあるよ。見ておいで。」

 「ありがとうございます!!」


 走って外に飛び出すとそこには、先程の全身鎧よりも少しグレードダウンした鎧が30。

 それでも十分高性能ではあるが。


 「よっし、これでアレが試せる!」


 今まで手当たり次第に支配下に起き続けた幽霊の中から、生前戦闘職だと思われる霊を並べていく。


 以前タイタニスさんから聞いた話では、霊を土人形に憑依させてゴーレムを作ったと言っていた。

 それを聞いて、全身鎧に憑依させればリビング・アーマーになるのではないかと思ったのだ。


 戦闘職の霊を憑依させるのは気分だが。


 「まずは一体だけ『憑依』!」


 1番手前の鎧に霊を憑依させる。

 ガチャガチャッ、と音を立てて倒れる鎧。


 これは失敗したか?

 それならそれで他にも試したいことはあるから別に良いけど。


 ギギギギギ


 ゆっくりと金属が擦れ合う音を響かせながら立ち上がる鎧を見て、「成功したか」と呟く。


 「よし、全員『憑依』!」


 次々鎧の中へ吸い込まれていく霊たち。

 その様子を眺め私は、本当に成功して良かった、と心底安心する。


 こんなに用意してもらって失敗しました、じゃあ済まないからな。

 良かった。ホントよかった。


 「次だ。『下位骨人生成』!」


 スケルトンキングから得たスケルトン系統のアンデッドを召喚し放題というチートアビリティ。

 それを使ってスケルトン・ジェネラルを30体生み出す。


 あくまでも生み出せるのは『下位』のスケルトンだ。

 なので、このアビリティ生み出せる中で最も強いスケルトンはこのスケルトン・ジェネラルだ。


 自前の盾と剣を持っていて、通常スケルトンの何倍も頑丈で素早い。その分消費する魔力は多い。

 簡単に戦力が増えるから全然構わないんだがな。オーガスケルトン並の強さだし。私の魔力総量から見れば誤差だし。


 「成功しますように成功しますように成功しますように・・・・・・。『死者融合』!」


 スケルトン・ジェネラルとリビング・アーマーを新たなモンスターへと融合させる。


 最近分かってきたのだが、『死者融合』は全く同じアンデッドか、かなりかけ離れた別種のアンデッドの場合は大体成功する。

 似ている別種を融合させるとほとんど砂になって崩れ去った。


 グール×ゾンビとかは失敗する。

 砂になる。

 けどスケルトン×ゴーストは成功した。

 胸部に魂のようなエネルギーの塊を携えるスケルトンになる。簡単な魔法が使えるスケルトン・メイジになるのだ。


 まあそんな訳で、失敗する可能性は低いと思う。

 しかしそれでも失敗すると思いながら結果を見守る。


 だって成功すると思って失敗したらショックだし。


 うだうだと考えているうちに融合が終わる。

 闇から1歩ずつ出てきた姿は、リビング・アーマーのままだ。

 違いは、鎧と同じ素材(らしきもの)と骨で出来た盾と剣を持っていることくらいだ。


 「・・・・・・大丈夫か?」


 しばらく経ってもその場に立ち続けるのを薄く開いた瞼から覗き見て、ようやく一安心する。


 「『死者融合』」


 残りは纏めて一斉に融合をさせる。

 一体ずつとか面倒くさいからだ。


 「これで大丈夫なハズだ。」


 何が大丈夫かと言うと、もちろんこのモンスターの強さのことだ。


 モンスターも魔物も、強さの基準は保有する魔力の量だ。

 保有する魔力であって、魔法に使える魔力のことでは無い。


 それを分ける為に、保有する魔力の量を魔素量と呼ばれている。

 これはレベルが上がる、進化する、などで増える。

 『死者融合』は、2体のアンデッドを無理やり1体にすることで強制的に進化させている。らしい。

 前任の死霊術師の部隊長が残した資料に書き記されていた。


 前任の部隊長は研究熱心だったようだ。

 とても助けられている。


 「あとは、『サモンウェポン』」


 『下位骨人生成』で生み出したスケルトンには『サモンウェポン』の武器の専用アビリティは使えなかった。

 『サモンウェポン』の武器を最も上手く扱えるのは『サモン』で呼び出したアンデッドだけのようだが、例外がひとつ。

 『死者融合』をしたアンデッドには『サモンウェポン』の武器があるのだ。そして謎空間へ戻すことが出来る。


 今目の前にいるスケルトンinリビング・アーマーは既に武器を持っているのだが、何が出てくるのだろうか。

 と思ったら、宝石のような眼球が2つ、ポトン、と掌に収まった。


 ・・・・・・んん??


 これはいったいなんだ?

 宝石を磨いて出来た目玉に見えるが。


 ダイヤモンド(?)の球体の中にルビー(?)の瞳が入っている。

 いやめっちゃ綺麗。趣味の悪いものなのは間違いないが、それを差し引いても綺麗だ。


 どっかの物好きな貴族に売れば人財産築けそうだ。

 でも、これ・・・・・・コイツの目に嵌めるんだよな?


 宝石眼球を持ってちらりと横目で動く鎧を見る。

 カポッと兜を脱ぎ左脇に抱え、右手で頭蓋骨をパキッと外して私に差し向ける鎧。


 すっっっごく気味悪い。

 苦手な人が見ちゃダメなやつだ。


 そっと2つの宝石眼球を嵌める。

 きっと今、私の顔はなんとも言えない微妙な表情をしていることだろう。

 頬が引きっているのが分かる。


 しかし、それも頭蓋と兜を元に戻したリビング・アーマーによって忘れ去られた。

 全身から赤い魔力が溢れ出したのだ。

 それは一瞬で終わったが、仄かに赤いオーラを纏っているのが分かる。


 宝石眼球(あれ)ちゃんと効果あるんだな。


 周りに目線を移すと、頭蓋骨を差し出して眼球を入れてもらうのを待ちに待っているリビング・アーマー達の姿が。


 そんな光景に叫びたくなる心を抑え込み順番に宝石眼球を嵌める。


 ようやく終わった頃には精神が大きく摩耗してしまった状態で、もう今日はずっと眠っていたいと強く思った。


 「これでリビング・アーマーは完了だな。あとはもう一体か。今日はそれで終わろう。」


 リビング・アーマーを謎空間へ戻したあと、先ほどの全身鎧があった3号さんの部屋へ戻る。


 部屋に入るが、誰もいないようなのでその場でやることを済ませる。

 とはいえやることはリビング・アーマーの時と似ている。


 霊を表情させ、ゴーストキングを呼び出し『死者融合』で一体のモンスターに。

 すぐ謎空間に戻して再度外へ。


 「これが上手くいったらマジで嬉しいんだけどな。上手くいってくれ頼む・・・・・・!!」


 私の体と重なるようにゴーストキングと融合したリビング・アーマーを呼び出す。

 当然、リビング・アーマーは中身が空洞なので、私はリビング・アーマーの中にすっぽりと入っている状態。


 そう、これがスケルトンではなくゴーストを融合させて理由だ。

 いつでも着ることができる高性能の全身鎧。これが欲しかったのだ。


 魔法使い系の私は、戦闘時に狙われた時の自衛手段が乏しいのだ。


 『地操術』には鎧を作るアビリティもあるが、あれは時間がかかる上に機動力に欠ける。

 そこで思いついたのが、リビング・アーマーをそのまま着るという荒業だ。

 これなら、モンスターの力をそのまま扱うことが出来る。

 流石に関節の限界を超えるような動きは無理だが、それでも十分だ。


 今はまだ直立上体でないと装着できないが、いずれは走りながら装着できるようになりたい。


 なにはともあれ、全身鎧を使ってやりたいことは大体できたので、今日はのんびり過ごすつもりだ。

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