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王国の追放貴族、帝国で闇黒騎士になる。  作者: チアキ
1.王国の闇と帝国の光
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9.死者融合《一》

 バケモノ兎に追い回され、最後に頭からガブガブとペロリンされた所で、目が覚めベッドから跳ね起きた。


 「・・・・・・ヤな夢見たな。」


 冷や汗をかいた体をスッキリさせるため、地下施設のシャワールームで汗を洗い流す。

 この施設はだいたいなんでも揃っているので、今のところ不満はない。


 1か月後に多分死んでしまうこと以外は。


 この場所に連れていかれて3日目の朝が来た。

 2号さんと3号さんはここで寝泊まりしていて、タイタニスさんは1番深い部屋で寝ている。


 「アルキリア君おはよう。」

 「おはようございます、3号さん。」


 私以外の皆も目を覚まし始める。

 食事は美味しくも不味くもない、微妙な味だ。

 そんな食事でも感謝して食べられるのは、森で食料の大切さを知ったからだろうか。


 「少年、昨日の話を詳しく聞かせてくれないか?」


 食事を摂りながら、タイタニスさんが聞いてきた。

 昨日の角兎狩りの話を順を追って話す。


 巨大角兎を倒した所まで話すと、2号さんが口を開いた。


 「アンチシャインを掛けてなかったから、簡単に突破されたのでは?」

 「・・・・・・あっ。」


 そういえば、アンチシャイン掛けてなかった。


 アンデッドは、基本的に太陽よ下では極端に弱体化する。


 うわぁ、よく生き残れたなぁ。

 運任せにも程がある。


 食事を終え、昨日巨大角兎を狩った所へ向かう。

 『霊眼』を発動させると、巨大角兎の霊が静かに佇んでいるのが見えた。

 だが、それ以外の角兎の霊の姿は見えなかった。

 理由は分からなかったが、元から用があるのは巨大角兎の霊だけだったのであまり問題は無い。


 「『霊魂支配』」


 巨大角兎の霊に近づき、手を向けアビリティを発動させる。

 今までで1番の抵抗と、巨大角兎の感情のようなものが流れ込んでくる。


 悲しみ、怒り、憎悪、恐怖、後悔。


 何となくだが、魔力の量に任せた力任せのゴリ押しはしないほうが良いような気がした。

 自分の魔力に意識を向ける。


 太い縄を細かく解くように、繊細で柔らかいイメージの魔力で霊を包み込んでいく。

 まるで魔力の繭のようになった頃、ようやく支配下に置くことが出来た。


 少しふざけて「お手」と手を出すと、頭を潰された。

 勿論霊体なのですり抜けるだけだったが、背筋が一瞬凍りついた。


 他にも色々試して見たところ、今まで支配下に置いてきた霊とは違い、意思疎通が出来ると分かった。

 命令しないと言うことは聞いてくれなさそうではあったが。


 今日は、新しく得たスキルを試しに来たのだ。


 まずは『突撃無双』の『ストレートチャージ』だ。

 スケルトンウェポンを構え、アビリティを発動させる。


 周りの景色が置き去りになり、進行方向にあった木の幹に衝突した。


 「〜〜〜〜〜ッ!」


 顔を抑え痛みに悶える。

 スケルトンウェポンは半ばまで木の幹に突き刺さり、引き抜くのに苦労した。

 やっと引き抜けた時、1度戻してから再召喚すれば良かったのではと気付いた。


 もっと早く思いついてよ。めっちゃ疲れたんだけど。


 気力を多少失ったが、『ターンチャージ』を発動させる。

 が、何も起こらなかった。


 色々悩んできるうちに、もしかして、と思いついたことを試してみる。


 『ストレートチャージ』を発動させ、すぐさま『ターンチャージ』を発動する。

 また木の幹にぶつかりかけたが、今回はぶつからずに避けることが出来た。


 左に曲がり、別の木に額を打ち付けた。


 「〜〜〜〜〜ッ!!」


 とてつもない痛みと引き換えに『ターンチャージ』の効果を知ることが出来た。

 これは『ストレートチャージ』の突進の軌道を、後から変更させることができるのだ。


 後でもっと広いところで試そう。


 『突撃無双』の効果が判明したところで、新しいアビリティを試す。

 昨日、巨大角兎を倒した時に得たものだ。


 「まずは『サモン:スケルトン』」


 2体のスケルトンを呼び出した。

 新しく得たアビリティは『死者融合』。


 支配下の複数のアンデッドをひとつにできるのだ。多分。


 「よし、そこに並んでくれ。いくぞ、『死者融合』!」


 横に並んだスケルトンにアビリティを発動させる。

 頭の中で、どんな姿にするのかをイメージする。


 シンプルに、単純に強化されたスケルトンをイメージしてみる。


 目の前のスケルトンが黒いモヤに包まれ、数秒後には2回り以上大きくなり、オーガスケルトン並の大きさで現れた。


 「お、おお、これは凄いな。思っていた以上だ。」


 スケルトンがただ大きくなっただけに見える。

 肘、膝から先は特にそれが顕著に現れている。


 ひとまずハイスケルトンとでも呼ぼう。

 通常スケルトンと比較してみるとやはり強化されているようで、見た感じ1.5倍程度だ。


 ハイスケルトンを見ていると、他にもアイデアが湧いてくる。


 『サモン』でスケルトンを10体呼び出し、ハイスケルトンをもう5体作り上げる。

 ハイスケルトン3体を『死者融合』で新たなモンスターへ変えた。


 イメージは勿論三面六手の鬼神、阿修羅だ。

 幼い頃書物で見た事があった。


 前面と側面を睨みつける3つの顔と、ずっしりとした巨体を支える脚と胴。

 オーガスケルトンを超える巨体は、2メートル50センチほどだろうか。

 跪いてもなお私より大きい。


 イメージ通りの出来栄えに満足していると、3号さんが誰かを連れてコチラに向かって歩いてくるのが見えた。


 「・・・・・・なにこの非常識なスケルトン?」

 「ホンマすっごいな〜。コレ君が作ったん? すごいやんか〜、聖光騎士団にも勝てんのちゃう?」


 3号さんが連れてきていたのは、タイタニスと同じくらいの身長の女性だった。

 あまり聞きなれない喋り方に戸惑っていると、3号さんが彼女の紹介をしてくれた。


 「コイツはリナリウス・ドミナ、第5部隊長でね。仕事が思ってたより早く終わってアルキリア君と顔合わせをしようと思ったんだよ。まさかこんなバケモノ作ってるとは思ってなかったけど。」

 「よろしくな〜! いやでもほんますっごいの作ったんやな、コレなかなかやで。」


 この少女が様々な物資を集める第5部隊の隊長だと言われても、正直信じられない。

 ただの冗談だと言われた方がしっくりくる。


 「コイツは『鑑定眼』っていうレアスキルを持っていてね、君の戦力把握にはもってこいだろう。歩き君は、自分のモンスター達がどのくらい強いのか知らないだろ?」

 「ええ、正直助かります。」

 「よっしゃ、ほなアルキリアくん、ばんばん召喚してってな〜!」


 この少女が本当に第5部隊長なのかはともかく私もスケルトン達がどれくらいで強いのかは知りたかったので、言われた通り今召喚できるアンデッド達を次々召喚していく。


 スケルトン4体。ハイスケルトン3体。ブラックスケルトン9体。シャドウスケルトン1体。グール13体。オーガスケルトン12体。アサシンスケルトン3体。アシュラスケルトン1体。

 魔力の消費無しで出せるアンデッドを全て呼出す。


 魔力に余裕があったので、さらにスケルトン10体、ゾンビ10体、ゴースト10体も召喚する。


 総勢76体のアンデッドの群勢が出揃った。


 振り向くと、パクパクと空気を求める魚のように口を開け閉めする3号さんと、宝の山を見つけたようにキラキラと目を輝かせるリナリウスさん。


 「アルキリアくん、君のモンスター皆すっごい強いで! 皆スキル持ってんねんで! こんなん絶対戦いたくないわ〜。アルキリアくん余裕そうやけど、まだ召喚できるん?」

 「あと・・・・・・50体くらい?」


 だいたいそのくらいは召喚できる。

 レベルが上がったのもあって、まだまだ魔力に余裕はある。

 あ、『サモンウェポン』は・・・・・・まあいっか。


 「・・・・・・な、なあアルキリアくん。その装備なんやけど、どこで手に入れたん?」

 「これも召喚したものですね。あまり無いですけど。」


 リナリウスさんが目を見開いて片手剣等をガン見する。

 目を離したかと思うと、呆れた顔で私の顔を見つめるリナリウスさん。


 「はぁー。タイちゃんがあんなに推すからどんなもんかとおもうてたけど、予想以上やったわ。」

 「タイちゃん?」

 「大隊長のことだよ。あとアルキリア君、君物量で攻め込んだら勝てるんじゃない? レベル上げる必要あんまりないんじゃ?」


 3号さんがそんなことを言うが、レベルを上げない訳にはいかない。

 なぜなら命が掛かっているからだ。

 私はまだ死にたくない。たがらレベルを上げ、少しでも生き残る確率を上げたいのだ。


 しかし物量で責める、か。

 それもありかもしれない。

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