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61話目 昔と今

 学校の廊下。

 一人の少女が走っていた。


「えっと、子供たちがいるところは……こっちかな?」


 目的の子をさらうためにいる可能性があるところへ。

 だが途中で足を止めた。


「アメグラ様も子供がいるところを探したはず。それで見つからなかった」


 それなら向かうより別のところを探すべきだ。


「でも合流したという可能性があるわね。念のために、幻影(イリュージョン)


 魔法で自分の偽物をつくり、子供たちがいるところへ向かわせた。

 こうすることで、もし合流していた場合の対処ができる。

 ただ、これを使いすぎて見つかると怪しまれる。

 アメグラが言っていた要注意の子供に見つかってしまう。


「早く見つけないと。アメグラ様を待たせてしまうわね」


 少女はまた走り出した。

 何分か走るとまた止まった。


「子供たちのところにはまだいないようね」


 先ほどの魔法が子供たちのところへ行ったが、まだ合流はしていない。

 火が消えたがまだ安全が確保されていないため、まだ全員一緒にいる。


「何か弄ばれているみたいだわ」

「分かっちゃった?」

「!? 何処から!」


 どこからか声がする。

 ただ周りを見渡してもどこにもいない。


「いてて、入るならやっぱり大きな影がいいね」

「こんなところにいたの……クロ!」

「久しぶりだね、アララリン」


 クロはアララリンの陰に潜んでいた。

 影から出ると二人は見合った。


「あなたの住んでいるところは潰された。でもなんでこんなところにいるの?」

「前は違ったけど、いまは居心地がいいからだよ」

「こんなところで満足ができるわけがない!私たちは悪魔なのよ!!」

「そうね、でもそれすら受け入れてくれる人がここにいるのよ」

「そんな馬鹿なことを言う人間がいるはずがない!」


 悪魔は人間から毛嫌いされる。

 今も昔も変わらずに。


「クロがいない間に私は六大悪魔(セイスデビル)の近衛兵までになったわ」

「すごいね。私なら近衛兵に離れないや」

「ここで倒したい、けど命令でクロを捕らえないといけないわ」

「私?六大悪魔(セイスデビル)のお誘いかな?」

「何をぬけぬけと……!」

「冗談だって」


「私たち近衛兵でもなぜクロを捕まえるのかは聞いていないわ」

「そこまで知られたくないってことかな?」

「大人しく捕まってくれると嬉しいんだけど」

「やだねー!」

「それなら実力行使!」


 アララリンは悪魔の姿へとなった。


「っと、その前に催眠耐性レジスト・ヒプノティズム

「覚えていたのね……」

「その魔法を進めたのは私だからね」


 あらかじめ対策をしていれば夢を見ることはない。


「まあいいわ。影炎(シャドウ・ファイア)!」

「新しい魔法まで。本当に変わったね」

「よく避けれたね。悪魔の姿へ戻れないのに」

「へぇー!よく知っているね」

「私たち悪魔も情報収集に力を入れているわ」


「でも、今はどうかしら?」

「……えっ?」


 クロは悪魔の姿になった。


「どういうこと!だって!」

「私にかけられた魔法を置き換えたの。普通は重くなるけど、私にとってはちょうどよかった魔法にね」

「どういうこと?」

「『ジークシル・アウラティアを裏切ることを禁ずる』。これに置き換えたのよ。破ったら私が死ぬ」

「ジークシル?あの子供から?それってつまり」

「そ、人間に従うってことだね。たった1人にだけど」


「悪魔が人間に?正気なの?」

「正気だし、これでよかったとも思っているよ」

「救いようがないところまでいったわね」

「それはもういいよ。で、まだやる?」

「当たり前だわ!爆裂影エクスプロージョン・シャドウ!!」


 アララリンの影はクロへと伸びていった。

 クロの足元に着くと同時に爆発した。


「どうよ!今まであなたが遊んでいる間に私はこうやって練習してきたのよ!!」

「いたたた、たしかに頑張ったみたいだね」

「……思った以上にキズが浅かったみたいだね」

「じゃあ今度はこっちからいくよ。悪魔ノ鉤爪(デビルクロウ)


 元々悪魔は人間に比べると爪が長い。

 それを強化し、剣に劣らないほどのものになる。


「クロも強くなっているわね」

「そりゃそうだよ。一度は復讐を誓ったんだから」

「でも私のほうがまだ上だわ」

「それならやってみる?」


「……でもここは一旦引かせてもらうわ」

「え?まだ何も――」


 外からは子供の声が聞こえた。

 外の炎は消え、皆戻ってきたのだ。


「なるほどねー。人が来ると困るのね」

「最初から影にいたんじゃないの?」

「いや、さっきたまたま見かけたからだよ」

「そういうことね。私はもう行くわ。じゃあねクロ、いや元魔王候補さん」


 アララリンは姿を消した。


「魔王候補、ね。昔そんなこと言われたね。そのせいでこれを持っているんだけど」


 クロは一本の剣を手にした。

 ジルと戦った際に使った剣だ。


魔王の剣(サタン)、やっぱりこれが目的だよね。受け取らなければよかったなー」


 この魔王の剣は言葉通り魔王が使っていた剣。

 そもそも子供が持つには大きすぎる剣だ。


「魔王がこれを必要とし始めたってことかな。でもなんで今更?」


 クロは考えつつも、剣をしまった。

 長く出しておいても、今はただ重いだけ。


「とりあえずみんなと合流をしようかな」

「誰かいる!」

「クロちゃん?」

「リーシュちゃん、それにペイルくんまで」


「何をしていたの?」

「外にあった炎を消したいの」

「僕は何もしてなかったけど」

「クロちゃんは?」

「私はちょっとはぐれちゃって」

「? そう、ならジルくんたちと合流しましょう」

「ジルくん?そういえば一緒じゃないね」

「ええ、今はアメグラという悪魔を探しているみたいよ」


 クロはアメグラという名を聞いた途端、焦り始めた。


「まずいよ!アメグラは逆鱗の悪魔とも呼ばれている!」

「逆鱗の悪魔?」

「そう!もし怒ったりしたらジルくんが危ない!」

「よくは分からないけど、それなら急ぎましょう」

「場所が分かるの?」

「終わったらすぐ合流できるように、ジルくんの場所を分かるようにしていたの」


 それって一種のストーカーじゃ。

 とクロは思ったが、口には出さなかった。


「それで追っていた時に私と出会ったってことか」

「ええ、でも話はあとで。今はジルくんのところへ急ぎましょう」

「うん!」

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