59話目 捜索
「なんで……。止めるためにしっかり魔法陣を描いたのに」
「誰もそれ一個とは言っていない。これはたくさん使うことで能力を増す魔法陣だからな」
これ以外にもたくさんあったってこと。
それでも全部探し当てる時間はなかっただろう。
「時間だ。俺は行く」
「待て!何処へ行く気だ!」
「俺たちに必要なやつがここにいる。それを奪いに来ただけだ」
「必要なやつ……?」
「おっと、口が滑ったな。まあどうせ死ぬだろうし構わないだろう」
「あっ、おい!」
そういうと学校のどこかへ飛んで行ってしまった。
しまった、これじゃあ位置がまともに分からないぞ。
「必要なやつというのをたどればいいのか?」
あのあくまでも必要なやつ。
そうなると自然と絞れてしまう。
「シロとペイル、それにリーシュちゃんたちが危ない!」
俺は教室へと全力で走って向かった。
教室からは声がしていた。
「みんな無事?」
「ジルくん?そんなに汗びっしょりでどうしたの?」
「やっとジルが戻ってきたー!」
「遅いよー」
教室にはシロとペイル、それにリーシュちゃんがいた。
よかった、3人とも無事だったか。
みんな外の炎を見ていた。
「一体何が起きているの?」
「そうなるといったい誰なんだ?あいつが必要ってことは何か特別なのか?」
「? 何をブツブツと言っているの?」
「誰かと会わなかったか?」
「誰とも会ってないよー!」
「さっきリーシュお姉ちゃんが来たばっかり」
俺が先に来た、というのは違うだろう。
ここに来てもう5分と経っている。
ここには窓があり、外からよく見える。
とっくに見つけてさらいに来てもおかしくはない。
「みんな、少し移動しよう。訳は移動しながら話すから」
「わかったわ」
とりあえず3人と一緒に行動をした。
移動中、さっき起きたことを話した。
「そんなことが起きていたのね。それでどうするの?」
「まずは火を止める。そしてアメグラを倒す」
「今度は倒すのね」
もちろんそのつもりだ。
そもそも俺たちを全員焼き殺す勢い。
ならこっちも容赦する気はない。
「それなら私が炎を止めるわ」
「シロはジルについていくー!」
「ペイルくんは私とお願い」
2人ずつで分かれることに。
リーシュちゃんと一緒ならペイルも大丈夫だろう。
別れて行動となった。
リーシュちゃんとペイルは外へ。
俺とシロは校内を探すことにした。
「どこにいるんだろうか」
「誰を探しているのー?」
「昨日の先生覚えている?」
「うん、覚えている!」
「その人を探しているんだ」
何より今は悪魔の姿なんだ。
特徴的だからすぐわかる。
「ジルくん?」
「ラルベルリーさん」
多くの生徒と一緒に校長戦のラルベリーさんがいた。
この前のようにみんなを誘導していた。
「何があったの?」
「新しい先生のグライド先生、いやグライドが元凶」
「あのグライドくんが?」
「知っているんですか?」
「ええ、冒険者の中でも上位にいる。ただ仕事をあまり受けないために名前は上がらないけど、それでも上位にいるんだ」
依頼をこなさなくて名前が広まる。
それほど強いということだ。
「私はみんなを安全なところへ連れて行くわ。だけど――」
「火ならリーシュちゃんたちが消してくれる。だからその時がいいかも」
「わかった、そうするよ。君たちも前みたいに無理をしないように」
ラルベリーさんはみんなに指示をすると移動した。
俺たちを止めなかったのは例え止めようとしても抜け出すと思ったからだろう。
もちろん二度とあんな目にはなりたくない。
シロにまで、今はペイルまで影響を与えてしまうから。
「どうするのー?」
「さっきの続きで探すよ」
それにしても一体だれを狙っているんだ?
俺でもシロでも、ペイルですらない。
可能性のあったリーシュちゃんでもラルベリーさんでもない。
全然分からない。
「キャアアアッ!!」
「誰かの叫び声だ!」
廊下を進んでいると叫び声が聞こえた。
声の方向へ走っていくとそこには別の悪魔がいた。
「大丈夫か!」
「え、ええ。かすり傷だわ」
別の班か年上かもわからないけど逃げ遅れた生徒がいた。
見たところ本当に腕にあるかすり傷だけみたい。
「仲間がいたのか!」
「ジルー!こいつを倒せばいいのー?」
「え?そうだけど、随分余裕そうだな」
「うん!なんか勝てそう!」
なんかって、理由になってないじゃん。
「心配だから俺も一緒に――」
「先手必勝!」
「おい!勝手に行くなよ!!」
一人で悪魔のほうへと向かっていった。
そんな無鉄砲に行くのは危なすぎる!!
「おりゃああ!!」
手をドラゴンの姿にすると同時に、その周りが白く光った。
そしてそのまま悪魔の体を引き裂いた。
「ほら大丈夫だった!」
「それでも俺に一言言ってくれ!」
「はーい……」
怒られたからしょぼーんとしている。
「それでもよくやったね。さっきの光ったのは何?」
「鱗!これで強さが上がるんだって!」
上がるんだってと言われれもなぜか全然わからん。
土台を頑丈にすれば崩れにくいみたいなやつか?
「それよりさっきの人、ラルベリーさんのところへ」
後ろを振り向くとさっきの人がいない。
もう行っちゃったのか?
「すごいわね。仮にも悪魔なのにあんな簡単に倒すなんて」
「ジ、ジルー……」
シロのほうをみとさっきの子がシロを捕まえていた。
いつの間に移動したんだ!
「おっと、動くとこの子が危ないわよ?私はアララリン。アメグラ様の近衛兵だわ。よろしくね」
「俺はジルだ。それよりもシロを返してもらうぞ。簡易瞬間移動」
「わっ!」
あらかじめシロには勝手にどこかへ行かないように魔法を付けておいた。
一定範囲ではあるものの、すぐに自分のところへと呼べる。
「すごい魔法を使うわね。これなら楽しめそうだわ」
アララリンは悪魔の姿へとなっていった。
身長は変わらず子供のまま。
「小さい悪魔だからと言ってなめない方がいいわよ?」




