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55話目 久しぶりの再会

「たった一ヵ月でもほこりはたまるもんだな」


 ほこりは人の皮膚や髪の毛、それに砂などでできる。

 俺たちがいなかったからどこかから砂が入ってきてほこりができたんだろう。


「きれになったー!」

「なったー!」


 シロは前からだったが、ペイルも一緒の部屋になれた。

 これもリーシュちゃんが先に来てやってくれたことだ。

 どうやって寝具をつくったのか聞いたらどこかから持ってきたみたい。

 持ってきた、というより魔法で等価交換をした。


 たとえば卵がほしかったらそれと同じ価値のものを用意する。

 一番簡単なのはお金だ。

 他にも薪をたくさん集めて交換もできる。

 ただ、そうなるとたくさんの薪を用意しないといけない。

 かといって、多く用意してしまうと使う分しか使わない。

 だから量がわからないと少し多く見積もってやらないといけないのだ。


「リーシュちゃんから教えてもらったし、使ってみるか」

「なにをー?」

「ごはん?」

「違うよ。あっ」


 母さんが渡したご飯渡すの忘れていた。

 少し遅いけど、持って行ったほうがいいだろう。


「シロ、ペイル。ちょっと待ってて」

「どこいくのー?」

「リーシュちゃんに母さんが作ったごはんを渡してくる」

「シロもいくー!」

「僕もー!」

「二人は片づけていて。遅れているんだし」

「「はーい……」」


 綺麗になったのは俺が使うスペース。

 シロの場所はまだ片付いていないし、ペイルのところは荷物が置かれたまま。

 二人は俺が掃除してくれると思ったみたいでずっと遊んでいた。

 そう、二人に掃除をやらせるのはやらなかったから。

 いつまでも甘やかしてはいけない!

 ……帰ってきて終わってなかったら手伝ってあげよう。


「そういえば俺がリーシュちゃんの部屋に行くのは初めてだな」


 今まではリーシュちゃんのほうから俺たちの部屋に来ていた。

 行ったことある部屋もクロと遊びに連れて行かれたガウとラウくんの部屋ぐらい。

 クロの部屋は汚かったし、ガウのスペースはものを寄せていただけだった。

 ラウくんのところは綺麗に整理整頓されていたし。

 リーシュちゃんの部屋はどうなんだろうなあ。


「ん?誰だろう?」


 新しい先生なのかな?

 それにしては若いような気がする。

 高校生くらい?でも赤い髪なんて派手だなあ。


「あっ、ジルくーん!」

「リーシュちゃん。なんでここに?」


 前のほうからリーシュちゃんが来た。


「こんなところで何しているの?」

「リーシュちゃんに渡すものがあって」


 ふとさっきのほうを見てみるとさっきの人がいない。

 なんだったんだろう?

 まさかお化けとか?


「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ。それよりこれ」

「なにかしら?お弁当?」

「母さんがリーシュちゃんにって」

「ジルくんのお母さんの!?ありがとう!!」


 リーシュちゃんはうれしそうに俺の手からお弁当を取った。

 そんなにおなかすいていたのか。


「あそこで食べましょう」

「そうだね。座って食べたほうがいいし」


 さっき誰かがいたところの近くに座ってご飯を食べられる場所がある。

 学校の中にある中庭みたいなものだ。


「いただきまーす!」

「めしあがれ。それでなんで歩き回ってたの?確認とか?」

「ペイル君のことが終わったから言いに来たのよ」


 そんなわざわざ……。

 本当にいい人だなあ。


「どうしたの?」

「いや、別に何もないけど」

「わかった。食べたいんでしょ?」


 ニヤりとリーシュちゃんが小悪魔のように笑う。

 ちなみにお弁当の中身はサンドウィッチだった。

 俺は朝ごはんはしっかり食べてきた。

 けど掃除のときにおなかがすいたと言えばすいている。


「大丈夫だよ」

「ほらほら、そんな我慢しなくていいんだよ?」

「……じゃあありがたく」


 母さんの料理は何をつくってもおいしい。

 せっかくだから貰おう。


「はい、あーん」

「えっ!?」

「? はやく、あーん」

「あ、あーん」


 まさかあーんさせられるとは。

 母さんやシロからされるのはあまり違和感はなかったけど、リーシュちゃんだと妙に恥ずかしい。


「「……あっ」」


 食べた後、奥に人がいるのが見えた。

 クロにシャルちゃん、それにネルちゃん。

 これは恥ずかしい……。


「へぇ、なるほど」

「なるほどって何……」

「いやあ、まさかいろんな子に手を出しているなんて」

「「はあ!?」」


 これにはびっくりだよ!

 リーシュちゃんまで驚いちゃっているじゃん!


「そ、そんなことないわ!なんで私がジルくんと!」

「それは、俺が悲しくなるから」

「ご、ごめんなさい」


 そんな速攻で否定されると悲しいよ。

 というかそんなに顔を真っ赤にするならしなければよかったのに。


「まあいいわ。久しぶりね」

「久しぶりだね。どうだった?」

「楽しかったよー!」

「ねー!」

「うん、楽しかったわよ。平和ってのもいいわね」


 クロはあの件以来、すっかり丸くなった。

 俺としても、また戦いたくはない。


「ん?なにかしらこれ」

「何か落ちてた?」

「ほら、これ」


 まさかリーシュちゃん、食べたときこぼしたのか?


「魔法陣?見たことない形や文字だな」

「私もないわ」

「えっ!?リーシュちゃんもないの?」

「魔法陣は人によって自分だけしかわからないようにすることもできるの。カモフラージュするためにね」


 そんなこと、俺も知らなかったぞ。

 てっきり、本だとみんな同じように覚えていた。

 自分用にできるなら早く知りたかったよ。


「おかしいわ。消えないわ」

「なにか魔法でコーティングされているとか?」

「でもなんでそんなことを?不思議だよ」


 リーシュちゃんもクロも不思議に思っている。

 学校にこんなことをするってことは、校長先生の魔法か?

 たしかカルシュさんだっけ?

 あ、でもこっちだとラルベリーって名乗っていたような。

 それより、学校を守るために必要な魔法陣なら消すわけにはいかないしなあ。

ここはほっておこう。


「きっと学校の誰かがやったんだから放置しておけば?」

「それもそうね。誰かがやったのなら消すのは申し訳ないし」


 すぐ手を引いてくれた。

 それにしてもなんの魔法なんだろう?

 気になるなあ。


「じゃあ私たちは先に行くわ」

「もう?」

「まだ掃除が終わっていないの」

「……3日ぐらいかかりそう」

「馬鹿にしないでよ!しっかり今日中に終わらせるわ!」


 いつぞや、クロの部屋で悲劇をみたからな。


「じゃあまたね。明日からかしら?」

「そうだよ。遅刻しないようにね」

「ばいばーい!」

「またねー!」

「シャルちゃんもネルちゃんもまたね」

「後ろに気を付けなよー!」

「危ないからねー!」

「後ろ?」


 あ、3人とも行っちゃった。

 後ろ?なんで後ろなんだ?

 何か置いてあるのか?


「ジールー……」

「し、シロ……。どうしたの?」

「またリーシュちゃんといちゃいちゃしている!!」


 どうやら俺はリーシュちゃんと一緒にいるのがシロには気に食わないみたい。

 理不尽じゃね?


「ガアッ!」

「あぶなっ!って爪だと!?」


 シロの手はドラゴンの爪があった。

 まさか、部分的に戻すことができるとは……。


「って感心しているところじゃない!ペイル!助けて!」

「ペイルはまだ掃除中!」

「リーシュちゃん!」

「やっぱおいしいわー!」

「おいいいい!!!」


 その後、シロは遠慮なしに襲ってきた。

 だがご安心を。

 俺にはクーリアさんに鍛えられたこの回避率がある。


 でも避けつつ説得し終わるのはリーシュちゃんが食べ終わった後だった。

 いまさらだけど、シロを修行に連れていっちゃだめだったんじゃね?

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