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21話目 不穏な空気が漂ってきたような

「俺が使った魔法って麻痺(パラライシス)のこと?」

「そうでありんす。わっちたちはまだできてないでありんすから」


 授業の内容は同じってこと?

 それよりやけどを冷やすので精一杯なんだが。


「おはよー!みんな!」

「おはようございます」

「「「「「おはようございまーす!!!」」」」」


 話していたら先生2人が来た。

 やけどももう大丈夫でしょ。

 後は残らないように加減されていたみたい。


「今日の授業は――」

「もう始めているみたいよ」

「あ、あれー?」


 ごめん、先生。

 こっちの世界に来てから授業の内容を楽しみにしていたんだけど。

 ネタバレをかまされたんだ。


「まあまあ、このまま続けさせましょう」

「うぅ、一日の楽しみが一つ消えた…」


 先生も楽しみだったのか。


*


「できたー!」

「速いわね」

「えへへー」


 次にできたのはなんと!

 クロだった!


「シロには負けないわよ!」

「ぐぬぬぬっ!」


 すごく悔しがっている。

 小さな手をぎゅっとしている。

 その中にめちゃめちゃ光っている雷光石(らいこうせき)があるけど。


「練習していたの?」

「ちょっと昨日ね。寝るまでの間やっていたの」


 ちょっと目の下にクマがあるけど。

 結果への代償か。


「シロちゃんもあと少しでできるようになるわよ!」

「ほんとう?」

「ええ!ただそのままやるとこの前のジルくんみたいになっちゃうからね!」


 ええ、そうなるでしょうね。

 雷撃(サンダー・ボルト)並みに殺傷力あると思うし。


「じゃあ引き続きがんばろー!」

「「「「「おー!!!」」」」」


*


「今日はそこまで!お昼にいきましょうか!」

「「「「「はぁ~い」」」」」


 結果は増えることが無かった。

 クロが早かっただけかもしれない。


「今日はみんなだけでお昼を食べて!」

「終わったら外に来てね」

「先生たちはどうするの?」

「ちょっとほかの先生とお話があるの」


 そうなのか。

 なら今日は子供たちだけ。


「ジルくん。あの子をお願いね」

「は、はい」

「…なんでありんすか?」


 いわゆる子守りだ。


◆~ ユリア・シフィール ~◆


「行くわよ」

「ええ」


 場所は学校の会議部屋。

 基本は今後の予定を話したりする場所。

 ただ、緊急事態の時に使ったりする。


「「失礼します」」

「ああ、座ってくれたまえ」

「「はい」」


 この人はラルベリー・カラトルク。

 珍しい女性の校長先生。

 私たちと同じ冒険者でもある。


 会議部屋だけど他の先生はいない。

 別日でそれぞれに伝えている。

 理由はおそらく役割が違うからだろう。


「君たちには見つけてほしい者がいるんだ」

「それって…」

「話を聞いているだろう?悪魔この学校にいる…かもしれない」

「やっぱり、まだ本当かはわかっていないんですね」

「そうだよ。だから君たちに本当か確かめてほしいんだ」


 風のうわさ、というより先生の間でよく話されている話だ。

 私たちもそうだけど子供たちにも危険が及ぶ。

 できれば噂だけであってほしいんだけど。


「詳しい理由を聞いてもいいでしょうか?」

「構わないけど、お昼はどうするんだい?」

「それより子供たちの危険を減らすための情報が大切です」

「…子供たちを思ってくれるのはうれしいけど食事はしっかりとってくれたまえ。それならここで食べようか。食堂だと子供たちに聞かれてしまうからね」

「分かりました」


*


「この前、軍は悪魔の集団を倒すために兵を動かしたんだ。隊長はノスタル・アウラティア。居住地が分かっていたから本気で潰しに行ったんだろう。結果はもちろん成功、と思われた。あまりにも早く片付いたんだ。そこを変に思ったノスタルは調査をした」


 成功とまでいったのね。

 個体ならまだしも、集団を倒すのはさすがね。


「そこで分かったのがその集団のボスと側近がいなかった。もちろんそれでも成果はあったわ。どうやら手下がボスを逃すために犠牲になったらしいのよ」

「そうなると!」

「ええ、学校には複数いる可能性がある。だから君たちに頼んだんだ」


 ここまでの話があるなら学校にいる前提で動いたほうがよさそうね。

 それに複数もいるのか…。

 あまりいないことを願うわ。


「何か小さいことでもわかったら教えてほしいんだ。よろしく頼むね」

「「はい!」」

「時間もいいころだろう。午後もがんばって」

「「失礼しました」」


◆~ ジークシル・アウラティア ~◆


「そちは無詠唱で何か使えないのか?」

「一応使えるには使えるよ。ほら」

「これは、水の水晶?面白いでありんすね」

「あっ!それにさわっ――」

「フウちゃん!それ面白いから触ってみ!」


 ガウのやつ!

 俺が触らないように言おうとしたら口を塞ぎやがった!

 このままじゃ!


「キャッ!」

「フウちゃん!?」

「あはははっ!ひっかかったー!」

「ガウくん!フウちゃんをだまさないでよ!」

「ごめんごめん、そう怒るなよラウ」


 ガウの二の舞。

 またビショビショになった犠牲者が一人。

 この魔法封印しようかな。

 せっかく無詠唱でできるようになったのに。


「フウちゃん、これを使って」

「…ふんっ!」


 ラウくんがタオルを差し出すと奪うように取った。

 相変わらず乱暴だな。


「ガウ、ちょっとこっちに来て?」

「えっ、その笑顔ちょっとこわ――」

「いいから!早く!」

「は、はい!」


 じゃあな、ガウ。

 けっこう熱いから覚悟しといたほうがいいよ。

 そんな助けてみたいな目で見ても助けないからな。


「とりあえずウチと」

「ぼくがついていくよ!」

「感謝するでありんす」

「おーい、ガウー」

「火…怖い…こわい…」


 トラウマを植え付けやがったな。

 自業自得としか言いようがない。


「帰ってくるまで先に食べちゃおうか」

「「「「「いただきまーす!」」」」」


*


「戻ったでありんす」

「おかえりー。ほら、美味しそうなもの取っといたから」

「あら、シロは我慢したでありんすか?」

「みんなにも分けようって教えてもらったからね!」

「…そうでありんすか」


 うれしそうだな、フウちゃん。

 美味しいものはみんなと食べるともっと美味しいからね。

 たぶん。


「じゃあ食べたら行こうか」


*


「みんな来たわね!」

「遅かったですか?」

「全然よ。私たちも今さっき来たわ」


 デートで言いそうなセリフだな。

 残念だけどこれは訓練の前だ。


「フウちゃん、ちょっとこっちに来て!」

「?わかったでありんす」

「今日の主役は君よ!」

「ふえ!?」


 耳としっぽがピンッと上に立っている。

 可愛いなあ。

もはやほとんどこの時間ばっかりという4時。

この時期だともう明るいです。

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