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色あせたまずいスイカと僕の夜

作者: 大野竹輪

「色あせたまずいスイカと僕の夜」


君の香りに包まれた 小さな僕の部屋には

さっき君と別れる前に 二人で仲よくほうばった

赤いスイカの半分が 残っていました


君は何もかも忘れて 一生懸命食べていましたね

僕はそんな君の口元を じっと見ていました

君は昔の微笑みを 残していました


色あせたまずいスイカと僕の夜

色あせたまずいスイカと僕の夜


ひとり部屋へ帰ってきた 悲しい僕の心には

さっき君と別れる前に 二人で仲よくほうばった

赤いスイカの半分が 残っていました


色あせたまずいスイカと僕の夜

色あせたまずいスイカと僕の夜


帰り道の僕の足取りはとっても重くて


すれ違う人すら目に入らない。


さっきまでの元気はどこへいったのだろう?


部屋に戻るまでの時間がとても長く感じた。


月がゆっくりと傾いて見えた。



扉を開けると、そこにはいつもの世界が広がる。


いつもの帰宅と同じ世界。


僕は4畳半の壁にもたれると


今日の昼、君と会ったことを思い出した。







「ひさしぶり」

「ほんとうだね」


「長かったね」

「そうだね」


「ほらもう夏だから、半そでにしたんだ」

「似合ってるよ」

「ありがとう」


そして2人で買い物に出かけたね。


昼の食材とスイカを買ったんだ。


君は狭いキッチンで昼の軽食を作ってくれたね。


エプロン姿がとても可愛い


僕は後姿をずっと見ていました。



ランチの後、君がスイカをカットしてくれて


2人で仲良くほうばったね。


時間はすぐに経ってしまう


いつも会うときはそう感じるんだ。




やがて夕方になって


心が少しずつ重くなっていく。


君の笑顔に影に寂しさを感じました。


「今度いつ会える?」

「またメールするよ」


時間がどんどん経っていく。


部屋の扉を開けたくなかったよ。


帰り支度をする君は


無口になって


そしてゆっくりと扉を開けたんだよね。


2人は駅に向かいました。


電車は遅れもせずに


時間通りに到着したんだ。


手を振る君の姿を今も忘れない。






やっと現実に戻った僕は


小さすぎて入らなかったスイカを見て、


「早く食べなきゃ」


と思いました。


少し色があせたスイカは


今日の僕の喜びと今の寂しさを混ぜ合わせた


そんな味がしました。



実際にあった出来事を前書きにある「詩」にしました。


その後、もう一度振り返ってみて「ショートストーリー」を書いてみました。


本来は逆かもしれませんが、こんなパターンもあるんですね。


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