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孤独な粒子の敗残兵団  作者: のすけ
  第2戦後から第3戦 までの日常及び経緯
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第64話 『 兵団長の資格 』


話は僕がボーエン王国へ帰還した後にまで遡る。


何とか魔導王朝攻略から生還できたけれど、それで全てが解決した訳じゃなかった。

レスリーさんから僕が居ない間に平原同盟で何が有ったのかを説明された。

当然だけど、僕の魔導王朝攻略は回りから快く思われなかった。

この平和な情勢で、なにゆえ戦いを起こすのかと。

しかも相手は大陸でも最強国家の一つ、魔導王朝である。

飛び火して大陸平原同盟にまで戦火が及ぶ可能性は十分に有った。


だからレスリーさんが平原同盟の首脳部を初めとする人達の説明に回っていた。

今回の魔導王朝攻略の目的は、あくまでガーベラさんの助命嘆願だと。

決して魔導王朝への敵対行為ではないことが強調された。

また、このボーエン王国を始め、大陸平原同盟各国にも魔導王朝からの滞在者は多い。

経済的にも密接な関係があるため、常に多くの人々や荷馬車が行き来している。

政治的には大使館や騎士団の人達がそうだ。

そういった王朝関係者にも同じように事情を説明して回っていたそうだ。


それに関して、僕はレスリーさんにお詫びしなければならないことがある。

ドナ先生が居ない時を見計らって打ち明けた。


「戦いが終わった後、インダラでカーリュ大公という御方と会いました。

 その時にレスリーさんからの書状について聞かされたんです。

 なぜ、あんなことをされたのですか…?」


僕の魔導王朝攻略の責任は、全てレスリーさん自身が取ると大公に知らせていた。

娘以外の、自分の命と財産の全てを差し出すと明記していた。


こんな事、ドナ先生には絶対に聞かせられない。


「私は君の後見人だからね…責任を取るのは当然だよ」


「止めてください!

 この攻略は全て僕の意志で始めたんです!

 覚悟ならできていました…レスリーさんはこんなことしなくても…!」


「そんな訳にもいかないよ。

 息子の責任を取るのは親の役目だからね」


本当に…本当にこの人には一生頭が上がらないと思った。

魔導王朝攻略なんてやったにもかかわらず、僕の味方でいてくれるのだから。

その時、横で見ていたシロが話を始めた。


「レスリー、一つ正直に答えてくれ」


「何をだい?」


「本当に何か欲しい物は無いか?」


「前にも言った通りだよ、今の私は全てに恵まれているからね。

 娘がいて、君達もいてくれて…とても幸せだ」


「そう答えるのは分かっていたんだがな…」


「それにね、今回の魔導王朝での戦い…私は満足しているよ」


「何でだよ…」


「君達は魔導王朝と戦って多くの人々に迷惑はかけたけど死者は出さなかった。

 これを聞いた時はとても嬉しかったよ。

 物は失ったり壊れても取り戻せるけど、命だけはどうにもならないからね。

 仮に命を奪っていたら、戦いが終わっても平和には程遠かったんじゃないかな?

 誰かの命を奪って誰かの心に深い傷を負わせて…。

 そんな悲しいことにならなくて本当に良かった。

 これはどんな金銀財宝よりも嬉しい…そう、本当に嬉しいよ。

 以前と同じように君達とこうして話ができるんだからね」


「そんなつもりは無かったんだけどな…まぁ、良しとしておくか」


本当は死者を出さない戦いには反対していた。

だがレスリーさんの満足げな顔を見れば、それ以上シロは何も言えなかった。


「だが、今までの借りはしっかり返すから安心してくれ。

 屋敷だって絶対に取り戻してやるから」


「それなら気にしないでいいよ。

 先日も大陸平原同盟から邸宅を用意するという話があったばかりだから」


それは僕もシロも初耳だった。


「後見人で苦労させているから、その見返りとして受け取って欲しいと言われたんだ。

 今の家屋で間に合ってるから断ったけどね」


「あぁ…そういえば…」


シロが思い出したけど、僕にも心当たりがあった。

以前、大陸平原同盟首脳と会った時、シロがレスリーさんを厚遇しろって脅していた。

機嫌を損ねたら地図から消してやるとも言ってたような…。


「…どうしたかね?何か心当たりでも」


「いえ、何でもありません!

 けれど折角の申し出なら遠慮なく頂いておいても良かったのでは?」


「だから今の家屋で十分なんだよ。

 祖父の代からの屋敷に未練はあるけど、大きい家自体にはあんまりね…」


「分かりました。

 やっぱり僕があのお屋敷を買い戻します…いえ、買い戻させてください。

 でないと僕の気が済みません」


「では期待して待っていようか。但し、余り無理はしないようにするんだよ」


問題は山積みだったけど、目標に向かって進むしかない。

どうやって目標に進むかさえ分からない状態だけど。


「そういえば…さっきのカーリュ大公なんですけどね。

 レスリーさんのことを水臭いって仰ってましたよ」


「そうだったかね…あの殿下は私のことを過大評価されているようだ」


「いえ、正当に評価されていると思います。

 それなのに、僕が原因でこれからの関係がおかしくなったらすみません…」


「それなら大丈夫だよ。

 あの後、大使館経由でカーリュ大公から返事が来た。

 2度と軽々しく自分の身を引き換えにするような真似はしないよう注意されたよ。

 これからはもっと自分の身を案じて欲しいと…。

 何か有れば大使館なり騎士団へ駆け込んで助けを求めるよう、強く言われたね。

 そこまで気遣って下さるとは有り難いことだよ…」


「アイツ等も良いとこ有るじゃねぇか…。

 アキヒト、魔導王朝がどこかに攻められたら援軍してやろうぜ」


僕達以外のどこの誰が魔導王朝みたいな怖い所に攻め込むのだろうか。




そしてケート山賊後と同様、自宅には僕に面会を希望する人達の列ができた。


「兵団長の勇名は聞き及んでおります」


いつの間にか僕には"兵団長"という肩書が付いて回るようになった。

魔導王朝と戦うだけでも自殺行為に等しいが、一番注目されたのは宗主との交戦だった。

大陸中から魔王と怖れられる人物と剣を交えて生き延びた者は皆無と伝えられる。

アパルト級越しにだけど、実際に戦った僕には分かる。

大公の人達も強かった。

知覚融合が無ければ絶対ラーキ大公に勝てなかっただろう。

宗主ヴリタラ陛下に至っては手も足も出なかった。

その魔王と呼ばれる人物と戦い、初めて生き延びたので多くの人々の興味を惹いた。


「いえ、運良く生き延びただけですから…」


「その運に私もあやかりたいものです」


貴族や富裕層、それに三大商会からもやっぱり面会が有った。

その大半は魔導王朝と戦いが始まると静観していた。

それで戦いが終わり、王朝との関係も修復されたとみるや群がってきた…のだろうね。


「えぇ、そんなところよ」


誰も見てない所でアヤ姉は冷ややかに答えていた。

利に敏い連中だからこそ、今ここに群がってきているのが証拠だと。

敗者に嫌悪して離れ、勝者に媚びて群がる…そんな最低の人種であると…。


「あはは…アヤ姉、辛辣だね」


「辛辣にもなるわよ!近くにそんなのがいたらね!」


「え…誰?」


「い、良いから!ほら、次の御客様!」


よく分からないけど、アヤ姉の周辺にはコロコロと態度を変える人がいるらしい。

下手に機嫌を損ねると後が怖いのでそれ以上は聞けなかった。



「兵団長か…」


多くの面会客は僕のことを兵団長と呼んでいた。

魔導王朝に戦いを挑み、魔王との戦いからも生還したただ一人の兵団長。

けれども今の僕がシロと出会った頃と何が変わったのだろうか?


「成長しているぜ?」


「気休めは良いってば」


「この魔導王朝攻略戦、かなりキツかったろ?

 特に知覚融合は激痛が走った筈だ。

 けどよ、1度目よりも2度目は幾分かマシに感じなかったか?」


「そういえば…そうかもしれないね」


「ある意味、ケーダには感謝する必要があるな。

 咆哮使うなとか犠牲者を出すなとか制限してくれたのが、成長に繋がってるんだよ。

 今のお前は魔導王朝戦前に比べて、飛躍的に戦術の練度が上がってる。

 これまでは47基の同時運行が限界だったが、今はもっと行けそうだな。

 数百基、普通に動かせると思うぜ」


「はは…そんな兵力が何処かに有ればね」


無い物をねだっても仕方が無かった。




そして10月24日

その日はレスリーさんからボーエン王国王城へ同伴するよう告げられた。

以前のケート山賊討伐後と同じく、ジーマ王達との謁見らしい。


僕が魔導王朝へ侵攻する理由についてはレスリーさんから説明が成されていた。

しかし、僕本人からも事情を聞かねばならないのであろう。


前回と同じく王城へ入ると執事さんに応接室へと通された。

勧められるまま椅子に腰を降ろして、王様達の来室を気長に待つ。


「一段落ついたら、本格的に2000万ソラを稼ぐ方法を考えないとね。

 それにレスリーさんの屋敷を買い戻す資金も…」


「それは難しいな…。

 また山賊の討伐依頼でも出てくれれば手っ取り早いんだが」


「はは…そんなに上手い話はなかなか無いね。」


魔導王朝戦の事後処理が終わりに近づくにつれ、僕は本格的に資金稼ぎを考えていた。

討伐依頼以外にも何か良い方法が無いか、もう一度斡旋所に足を運ぼうか…。


すると扉が開いて、ジーマ王を始めとする5人の大陸平原同盟首脳が入ってきた。

席を立ち、一礼してアキヒトは出迎えた。


「また会えたな…うむ、気楽にしてくれたまえ」


5人が席に着くと、アキヒトも再び座って向かい合った。


「大体察しはついているのですが、本日は如何なる御用でしょう?」


「そうだな…一応聞いておこう。

 魔導王朝攻略に関してはレスリー卿からも説明は受けている。

 全てはガーベラ・イーバー助命嘆願の為だとな。

 それは理解できたのだが…なぜ、我々に一言も相談せず攻め込んだのだ?」


「時間が無かったというのも有りますが、ご迷惑だと思ったからです。

 あの時、僕は魔導王朝を攻める前に今まで知り合った人達全てと縁を切るつもりでした。

 王朝と敵対する以上、僕なんかと縁が有っては良いことなど一つも無いでしょう…」


その時、カール大公国のカターニ元首が口を開いた。


「アキヒト君、正直に言ってくれても構わないよ。

 相談しても何の解決にもならなかったと思ったのでは?

 実際、大公達でも難しかった問題だ…我々でも不可能だっただろうね」


「……はい」


「だが、それでも私としては君から相談を受けたかったね。

 これでも一応は国の要職の身だ。

 何かしらの手助けになれたと思うのだが…」


「ですから、僕に手助けなんかしたら魔導王朝から何か…」


「そのくらいは覚悟しているよ。

 君もまた我々の同士だと思っているのだから」


「同士だなんてよく言うぜ、全て終わってからなら何とでも言えるよな」


誰にはばかることもなくシロが堂々と言葉にしていた。


「我々が信用できないかい?」


「当たり前だろ」


「では、どうすれば信用して貰えるかな?」


「知らねぇよ、そんな仲にもなりたくねぇし」


「ちょ、ちょっとシロ、失礼なこと言っちゃ駄目だよ」


「良いんだよ、コイツ等の魂胆なんて見え見えだからな。

 ヴリタラと戦って名を挙げたお前を平原同盟に取り込みたいだけなんだよ」


「それは否定しないけどね…」


カターニ元首も困り顔になっていた。


「…だがよ、前の約束を守ってくれたことは素直に認めてやる。

 お前達、レスリーに屋敷を用意しようとしてたらしいじゃねぇか?

 その分だけは信じてやって良いかもしれねぇな」


「しかしレスリー子爵には固辞されたよ。

 あの人は欲とは無縁だからね…お金や物で遇することが難しくて…」


「良いさ、それは俺も分かってる。

 その姿勢をこれからも続けてくれるなら、お前らと話くらいはしてやるよ」


「ちょっと、シロ!もう少し言葉遣いに気を付けなって…!」


「いや、我々は構わないんだ。

 シロ殿とは話ができるだけで今は十分だからね」


カターニ元首の温情には感謝しないといけない。


「では、本日の主題に入るとしようか…」


シロの機嫌が良くなったところで、再びジーマ王から話が始まった。


「アキヒト…2日前の魔導王朝の朝議の話は聞いたか?」


「いえ、何もまだ」


「ガーベラ・イーバーの極刑が正式に取り消された場の話だ…。

 その時のヴリタラの発言が全大陸に波紋を呼んでおる。

 前回の戦い…一歩間違えばヴリタラも大公達も君の兵団に皆殺しにされていたとな」


「…え?」


「シャール平原の戦いを思い出して欲しい。

 君の助命嘆願を聞き入れるのが、あと少しでも遅かったら危なかったらしいが…」


「何のことでしょう?

 あの時の僕は宗主陛下に敗北する寸前でしたが…」


「やはり君は知らなかったのだな。

 ではシロに聞こう…ヴリタラの発言は本当なんだろうか?

 その気になれば魔導王朝は滅ぼされていたと…そう伝わっているのだが」


ジーマ王のみならず、全ての視線が右肩のシロに向けられた。


「…さぁな」


「教えてくれんのか?」


「話くらいはしてやると言ったが、それは内容次第だ。

 話したくないことまで話す義理なんてどこにも無ぇだろ」


「ヴリタラでさえ恐怖するような…そんな獣が君達の近くに潜んでいるらしいが…」


「もしかして3基?」


僕には思い当たることが有った。


「そう、3匹潜んでいるとヴリタラは話していたらしいが…。

 アキヒトは知っていたのか?」


「いえ、知りませんでした。

 しかし何も出てない兵種リストが3基分あったのを思い出しただけで…。

 シロ、もしかしたら2番から4番のこと?」


「…あのなぁ、アキヒト。

 あんま兵団の戦力のことをペラペラと喋るのは流石に感心しねぇぞ。

 しかも、一番聞かれたくねぇ奴らの前でな。

 コイツら、いつ敵に回るか分からねぇのが分かってるのか?」


「仮に敵に回った所でどうにもなるまい…」


深い溜息をつきながらジーマ王がシロを見ていた。


「正確なことは何も分かっておらん。

 だが、ヴリタラでさえ恐れるような存在だと聞く。

 そんな君らを相手にして、我等大陸平原同盟に何ができると言うんだね…」


「それもそうだな」


流石のジーマ王も、彼我の力の差を思い知らされていた。


「ねぇ、シロ…あの隠れた3基、そんなに強いの?

 魔導王朝の宗主陛下もかなり強かったけど…」


「上には上がいるのさ。

 それよりアキヒト…今まで黙っていて済まなかったな」


「良いよ、別に。

 シロにはシロの考えがあって3基を隠していたんじゃないの?」


「そうだな…そう言ってくれると助かる。

 あの3基は事情が有って今は極力使いたくないんだ。

 その理由は後で必ず話すと約束するよ」


「うん、分かったよ」


僕自身は、そこにこだわるつもりは無かった。

あの宗主陛下との戦いでギリギリまで出さなかったのも何か理由が有るのだろう。

少なくともシロが僕に不利になるようなことをするとは思えなかった。


「はっきり言えば良かろう…力不足だとな」


その時、首脳陣右端の人物が鋭く切り込んできた。


「シロよ…お前は主には本当に甘いな。

 アキヒトにはその3基を任せる資格が無いと言えば良かろうに…」


以前もシロと揉めたマーク同盟第45代盟主マーダ。

自信に満ちた表情で僕達を見ていた。


「なんだと…!」


「違うのか?」


問われればシロは返答に困って何も言えない。


「それで質問してやろう…。

 予言の"黒い月"との戦いまで今から最短で26ヶ月…。

 それまでにアキヒトはお前の望む高みにまで昇れるのか?」


「答える義理なんかねぇよ」


「自信が無いのか?」


「見え透いた挑発だな」


「貴様はそんな狭い了見でしか話ができんのか?

 この世界の大局を見据えた発言ができぬようなら用は無い…。

 せめて入室から退室までおとなしく黙っていることだな」


「私からも聞かせて欲しい。

 さっき、話くらいはすると言ったのは嘘なのかい?」


カターニ元首もシロに問い掛けていた。


「シロ、僕からも聞きたい。

 本来の兵団長にはどれだけの実力が求められるの?」


「そ…それは…」


シロは直ぐに答えようとしない。


「アキヒトの成長率の兼ね合いもあるから今は何とも言えねぇよ。

 だが、魔導王朝戦でかなり上がったのは間違い無い。

 まだまだ目指す高みは遠いが、近づいてはいる…」


「今の僕は同時精神リンク数が増えた筈だよ。

 これだけ増えれば前よりずっと…」


「すまん…はっきり言うと全然足りねぇんだ」


「え…だって…今の僕なら数百単位の兵種の統率もできそうだけど…」


「…足りねぇんだ。

 それじゃ、全然足りねぇんだよ。

 あの47基全てと同時に知覚融合を余裕でこなせても、それでも全然足りねぇ…」


「そんな…!」


シロから求められる基準が遥かに高いことだけは分かる。


「では、アキヒト君が成長するに当たって私達から何か協力できることは無いかな?

 "黒い月"との戦いまで万全を期しておきたい」


「…何も無ぇよ。

 強いて言うならアキヒトの成長を邪魔しないよう口出ししないでくれ」


「それで彼が君の期待以上に強くなれるのかい?」


「だから何とも答えられねぇよ…」


「…いえ、僕はやります!」


曖昧な言葉しか出せないシロだけど、要するに僕が決心するしか無かった。


「シロ!僕が立派な兵団長になれるように特訓して欲しい!

 どんな厳しくてもやり遂げてみせるよ!」


「…本気で言ってるのか?

 俺が求める兵団長の最低基準でさえも地獄のような特訓が必要だぞ?」


「構わない!それで強くなれるなら!」


「よし…その言葉、忘れんなよ」


おそらくは誇張でなく本当に地獄のような苦しみだろう。

だが、僕はやるしか無かった。

今の僕にはレスリーさんを始め、多くの人達が助けてくれる。

その恩人達に報いるためには、今の僕が兵団長になる以外に何も思いつかなかった。


「アキヒト君、これから何か必要になったら遠慮なく言って欲しい。

 衣食住についてだろうと何でも構わない。

 君の成長の手助けになるのなら、大陸平原同盟は協力を惜しまないよ」


「お気遣い有難うございます。

 ですが今の所、僕は何も不自由してませんので」


カターニ元首の申し出は本当に有り難かった。


本心を言えばお金が欲しい…しかし、口が裂けてもそんなこと言えない。


これで僕の目標が二つに増えた。

シロから兵団長として認められることとお金。

どちらも難問だが投げ出す訳にはいかなかった。




「兵団長の道は遠そうだね…」


「あぁ、かなり遠い…それは間違いないぜ」


王城からの帰り道、僕とシロは課題が余りも大きすぎて実感できないでいた。


「例えばの話だけどさ、シロから見た理想の兵団長ってどんな人なんだろうね。

 今の僕より遥か多くの兵種を統率して、同時に幾つも知覚融合を難無くこなして…。

 はは、凄すぎて想像も付かないや」


「案外身近にいるかもな…」


「…え?今、なんて言ったの?」


「何でも無ぇ、今のは忘れてくれ」




予言によると"黒い月"との戦いまで最短で残り26ヶ月。


既に僕は多くの人達から"兵団長"と呼ばれている。

だがシロからも"兵団長"として認められるよう頑張ると誓った。



次回 第65話 『 不屈の大型機動兵器 』

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