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孤独な粒子の敗残兵団  作者: のすけ
  第2戦 ヴリタラ魔導王朝攻略
63/134

第61話 『 戦後処理という名の(2/6) 』


「すみませんでした!」


何を置いても先手必勝だった。

最初に謝って頭を下げまくって許して貰うしかなかった。


「申し訳ありません、私どもの指導が至らず…」

「すみませんでした…」


僕が宿泊していた迎賓館の豪奢な応接室。

そこへ呼び出され、アヤ姉と一緒に魔導王朝の大公の人達と面会することになった。

イナト筆頭大公の他に、キシーナ大公、ヤミザ大公、ショウ大公、カーリュ大公。

入室してこの5人を見た途端、アヤ姉が小さく悲鳴を上げた。

とてつもなく恐ろしい人達だろうと嫌な予感はしたが、まさしくその通りだった。


「…良いのだ、顔を上げなさい」


「いいえ、謝らねばなりません!

 魔導王朝へ侵攻した以上、本来なら首を刎ねられても当然ですから!

 散々ご迷惑をかけてしまい本当に申し訳ありません!

 それに罰を受ける覚悟もできています!」


このまま無事に済むとは思っていなかった。

ガーベラさんを救うためとはいえ、兵団を引き連れて魔導王朝へ攻め込んだ。

実際に多くの守備軍も出陣し、大きな戦いも起こってしまった。


「弁解は致しません。

 保護者である私にも責任が有りますので何なりと罰を…」


「アヤ姉は関係無いよ!

 これは僕が独断でやったことなんだから!」


「言ったでしょ、一緒に謝ってあげるって。

 罰を受けるのも当然一緒よ」


「駄目だよ、そんな!」


するとカーリュ大公がテーブルの上に一枚の手紙を置いた。


「安心したまえ、君達に罰則を与えるつもりはない。

 いや、与えることができんのだ…。

 君の兵団がシャール平原へ到着する直前だ。

 ボーエン王国大使館へ私宛にレスリー氏から書状が届いたよ」


置かれた手紙を指差しながら話を続けた。


「君の兵団が魔導王朝へ侵攻した責は、全てレスリー氏が負うそうだ。

 自身の命と財産…娘の命以外の全てを我等魔導王朝へ差し出すと申されておる」


「そ、そんな…!」


「レスリー氏ともあろう人物がくだらんことを…!」


カーリュ大公は不機嫌な表情を露わにしていた。


「仮にレスリー氏に責を追及して処刑などしてみよ!?

 それこそ各省庁から…いや、あらゆる部署からの嘆願で埋め尽くされるわ!

 南方諸侯だって黙ってはおらん!

 それこそ100万の軍勢を繰り出してくるだろう!

 平原同盟は勿論、神聖法国からも何らかの抗議がくるのは間違いあるまい!


 ゆえに君の責を問わん!

 後見人になってくれたレスリー氏に深く感謝せよ!」


大公の言葉が僕の肩に重くのしかかった。


「全く水臭いことよ…。

 素直に私を頼ってくれれば良いものを…今までの付き合いもあろうに…」


以前、カーリュ大公とレスリーさんは交流があると聞いた。

魔導王朝内の学術振興を務める大公はレスリーさんをとても高く評価していると。


「…ガーベラを助けてくれた件については私からも礼を言おう」


銀の眼鏡が印象的なイナト筆頭大公。

宗主陛下に次ぐ魔導王朝の実力者から声をかけられ、僕とアヤ姉は息を呑んだ。


「君の兵団と交戦した将兵にも犠牲者が発生しなかった。

 王朝社会にも経済にも損失らしい損失は無かった。

 守備軍の出兵で多少の出費は有ったが、それは大目に見よう」


「はい…」


「――但し、今回限りであるぞ?」


「はい…もう2度としません…」



小学校の頃の失敗を思い出す。

空き地でボール遊びをしていたら、手元が狂って近所の窓ガラスを割ってしまった。

その時の家のおじさんと全く同じ会話のやり取りだった。


『まぁ、いい…今回限りだぞ?』


『はい…もう2度としません…』


おじさんは怒っていたけど僕が子供だからと許してくれた。

大人だから1度目は許してくれた。

しかし2度目は絶対に無いと釘を刺された。

それ以来、僕がその空き地でボール遊びをすることは無くなった。

離れていたけど、市の公園まで自転車で行くようになった。


そう、僕は学習して次に活かすことを知っている。

子供の頃から何度も失敗するけど、同じ過ちは繰り返さない。


2度と空き地でボール遊びもしないし2度と魔導王朝へ侵攻することも無いのだ。



「…反省しているようだな」


「はい…前にも同じような失敗をしまして…。

 大公殿下と同様に寛大な心で許して頂けました…」


「そうか…心の広い御仁であったのだな」


「はい、かなりの損害でしたけど…本当にかなりの金額でしたのに…」


工事費込みで1万2千円と聞いた。


「なのに、許して頂けて…本当に感謝としか…」


「分かれば良い。

 魔王王朝軍の戦費もそれほどでは無いしな」


「有難うございます、何とお礼を申し上げて良いやら…」


もう頭を下げるしか無かった。

空き地の隣家のおじさんと同じくらい慈悲深い人達だった。


そして面会している大公の人達の中に、ガーベラさんの主人がいないのに気付いた。


「すみません、ラーキ大公殿下にも一言お詫びしたいのですが」


「それなら構わない、今は療養中だ。

 戦いに負けた相手に見舞いされるなど、あの男の誇りが許さんだろう」


「しかしご迷惑をお掛けした以上、一言でもお詫びを…」


「いや、その気持ちだけで十分だ。

 後で我々の方から伝えておこう」


自らの邸宅でガーベラさんの極刑が撤回されたと聞いて、安堵しているという。

だが、その理由が僕の嘆願と聞いて、少し複雑な心境らしい。


「本来なら主君である自分がガーベラを助けねばならなかった。

 だが、その役目を君に奪われてしまったからな…」


「…恐れ入ります」



大公の人達への謝罪は終わった。

だが、これは最初の一歩に過ぎない。



「ヒッ…!」


王朝軍務省へ謝りに行こうと施設に入った瞬間、官僚の人達に悲鳴を上げられた。

なぜか僕の顔が知られていたらしい。

周辺の施設から守衛の人達が続々と集まり、あっという間に囲まれた。


「な、何用か!?」


「軍務省長官様に御面会をお願いしたいのですが…。

 約束も何も無くてすみません」


「しばし待たれよ!」


守衛の人達の後詰めで騎士団の人達まで姿を見せた。

全員、完全武装でこれから戦いにでも行くような様相だった。


1階ロビーで囲まれてアヤ姉と立ち尽くしていると、奥から一団が姿を現した。


「私が当省を総括する責任者だが…」


周囲は騎士達に囲まれて、本人の姿が隙間からしか見えなかった。

当然だけど、思い切り警戒されていた。

今まで自国に攻め込んでいた張本人が来たのだから無理も無いのだけど。


「すみません…!

 ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした!」


やっぱり謝るしか無かった。


「申し訳ありません、私どもの指導が至らず…」

「すみませんでした…」


同行してくれたアヤ姉と一緒に平謝り。

聞けば、今回の敗残兵団の迎撃対策本部が設置されていたという。

その為に投入された人員と費用、決して少なくは無いだろう。


頭を下げて下げて下げまくって…呆然とする軍務省長官へ早々に挨拶して退出した。



そして侵攻経路上にあった侯国へ順に訪れた。

アヤ姉は事前に僕達と戦った守備軍の所属を調べており、謝罪する日程も組まれていた。

エルミート家の紋章付の馬車に揺られて僕達は侯国を回った。


「ダニーに乗ればもっと早いぞ」


「馬鹿!これ以上神経を逆撫でしてどうすんのよ!」


シロに怒るアヤ姉の言葉は至極正論だった。

つい数日前まで戦っていた兵種に乗って訪問されては挑発にしか思えないだろう。


こうして守備軍の司令である侯爵様へ面会を求め、片っ端から謝りまくった。

軍を出せば、当然費用がかかる。

しかも今回の兵団は魔導王朝守備軍兵士を無力化すべく武器を破壊しまくった。

どれだけの戦費が損なわれたのか…。


「申し訳ありません、私どもの指導が至らず…」

「すみませんでした…」


しかし全ての侯爵様達も寛大なことに笑って許してくれた。


「ガーベラ様が助かったのだ!

 それくらい大したことあるまい!」


戦費以上に大切な人材を失わずに済み、誰もが上機嫌だった。


「それより本当にお前が宗主様と剣を交えたのか!?」


「は、はい…」


「どうだ、宗主様は強かったであろう!?」


「全然敵いませんでした…」


「はは、そうであろうとも!

 宗主様より強い者などこの世には存在せぬ!

 だが、お前は凄いぞ!?

 あの宗主様と剣を交えただけでなく、今もこうして生きておるのだから!」


魔導王朝宗主ヴリタラ陛下と戦った僕を褒めてくれた。


「良かったな、これは末代まで自慢できるぞ!?」


「そ、そうですね…」


「平原同盟が窮屈になったら、魔導王朝へ来るが良い!

 いや、ワシの所へ直接来ても構わん!

 鍛え直してやろうぞ!」


なぜか勧誘までされた。


「いえ、僕は…そういうつもりは…」


「あぁ…そうであったな。

 お前には既にガーベラ様という最高の師がおられたのだった。

 それではワシも譲らねばなるまい…」


こうして話をしていて、ガーベラさんの評価が如何に高いかも思い知らされた。

誰もが魔導王朝の未来と同じくらいガーベラさんの身を案じていた。



それから各侯爵様達の機嫌が良いのは、もう一つ理由が有った。


「これはまた派手にやられたな…」


「宗主様と戦ったんだ、当然だろ」


敗残兵団は侵攻経路と逆方向で帰途についていた。

稼働不能な兵種は全てアパルト級の後部に積載されていた。

アパルト級自身も大きな傷を負っていたが、他兵種の輸送は可能な状態だった。


それでケート山岳へと向かう途中、嫌でも魔導王朝民の目に触れる。

各兵種は損傷が激しく、自力で歩行可能ならば良い方だった。

あれだけ猛威を振るったアパルト級なんて誰の目から見てもボロボロだった。

4本の鉤爪の腕は全て欠損、身体のあちこちの装甲はめくれ落ちていた。

後部に乗せた兵種達も同様であった。


魔導王朝にとっては良い喧伝材料となったであろう。

敗残兵団も所詮は敵では無かった。

宗主ヴリタラ陛下の強さを大陸中へ知らしめただけだった。

侯爵達が機嫌が良いのも頷ける。

自分達では敵わなかった兵団だが、宗主陛下が自ら出て仇を取ってくれたのだから。



帰りの馬車の中、時間があったのでアヤ姉に色々と聞いた。


「レスリーさん達はやっぱり色々な人達に謝りに?」


「えぇ、ケート山賊とは比べ物にならないわよ。

 魔導王朝と戦いを始めたんだもの…その関係で奔走されてたわ」


今更だけど、どれだけ迷惑を掛ければ終わるのだろう…。


「けど、それは良いのよ…覚悟していたことだから。

 アキヒトが魔導王朝へ攻めるのはレスリーさんも承知していたんだしね」


「それでも謝って御礼を言わないと…」


「それは当然よ」


ケート山賊の時とは違い、レスリーさんの了承を得て僕は魔導王朝へ侵攻した。

それだけは良かったと言えるのかもしれない。

本当に極僅かだけど、前の戦いに比べて少しは成長したのかもしれない。


それにアヤ姉自身も今回の件に関しては全て承知していた。

同じく色々な人へ謝りに行ったけど、それも全て覚悟の上だったのだから。


途中で色々な街に寄って宿を取り、謝罪の旅を続けて7日間。

ようやくボーエン王国の城塞都市へと帰ってこられた



「帰ってこられたんだね…」


もう2度と見られないと思っていた街並みが再び目の前に。

しかし安心するのも束の間、戦いの最後に謝らなくてはならない人がいる。


「ただいま戻りました…」


扉を開いて中に入ると、居間のテーブルには2人が…。

…なのだが少し様子がおかしかった。

レスリーさんはテーブルに両肘を立てて寄りかかり、重々しい表情で腰掛けていた。

ドナ先生は無表情で行儀よく椅子に腰掛けていた…怖いくらい無表情で。


「アキヒト…そこに座りなさい、シロもよ」


抑揚の無い…空恐ろしささえ感じるドナ先生の声。

僕は言われるまま、レスリーさんと向かい合う席に腰を下ろした。

シロもぼくの右肩に。


「え…?」


アヤ姉が不思議な顔をしていた。

魔導王朝攻略の件はレスリーさんも了承していた。

僕が生きてこの家に帰ってこられたらお祝いをするつもりだったらしい。


なのに2人の様子がおかしい。

決して機嫌が良くないとは思っていたが、予想以上に事態が悪い…気がする。


僕の傍にはアヤ姉が立ち…しばらく無言の時が流れた後、レスリーさんが口を開いた。


「…自信を無くしたよ。」


その口調は疲れ切っていた。


「今後、君の後見を続けられる自信が無い…。

 アキヒト君は、私の代わりの後見人を見つけた方が…。」


「すみませんでした!」


話が終わるよりも早く、僕はレスリーさんに頭を下げていた。

以前も全く同じことがあった気がするけど構わない。


「今回も大変迷惑をお掛けして…!

 僕なんかのために、また大勢の人達に謝りに行かせてしまって…!

 本当の、本当に申し訳ありません!

 ですから、それだけは…僕の後見人をこれからも…!

 もう二度とレスリーさんに迷惑をお掛けしないと約束します!」


立ち上がり、深く…深くレスリーさんに頭を下げた。


「俺からも頼むよ、レスリー。

 また色んな奴等に謝りに行かせたのは悪かったけどよ、後見は止めないでくれ。

 俺もこれからはできるだけ迷惑をかけないって約束するから許してくれよ…」


僕とシロは何度も謝ったけれども、レスリーさんの表情は変わらない。

その時、横からドナ先生が呟いた。


「…本当の本当に2人とも馬鹿ね。

 何を謝るべきか、せめてそれを確認してから謝りなさい」


「え…それは…」


「何度も言うけどね、お父様は後見人だから周囲に謝りに行くのは当然なの。

 そんなこと露ほども気にしておられないわ…」


「それじゃ…えっと…」


戸惑う僕に、レスリーさんは再び重々しい口を開いた。


「君は女性関係には慎重な男だと思っていたのだがね…」


「え…何の話ですか?」


「ハーレム作りなんて発言は冗談と思っていたよ。

 アヤちゃんや娘のドナを…ティアさんまでその中に入れるとか…」


「は、ハーレムって…」


「魔導王朝へ行くのもガーベラさんを助けに行くのが目的だと信じていた。

 私はね、アキヒト君は純粋に恩師を助けに行くと…そう思っていたよ。


 だが…まさかハーレム要員を増やすのも目的の一つだったとは…残念だ…」



その時、台所から2人の姿が。

いつもと同じ女中姿のティアさんと…魔導王朝領で僕の護衛をしてくれた女の子。


「アキヒト!」


駆け寄ってきたシーベルさんにいきなり抱き付かれた。


「え!?え!?なぜ、シーベルさんが此処に!?」


「アキヒトに会うため!」


両腕を回してがっちり抱き付かれ、簡単には離してくれそうにない。


「…随分親しげね?

 アキヒトが魔導王朝へ攻め込んでいる間、お父様がどれだけ苦労されたか知ってる?

 私が愚かだったわ…!

 その程度、理解できる良識と脳みそくらいは有ると信じていたのに!

 まさかお父様に平原同盟内で奔走させておいて、自分だけは女遊びだなんて…!」


ドナ先生が怒ってた。

シロに2号呼ばわりされた時とは比べ物にならないくらい無茶苦茶怒っていた。


「私もハーレム入れてくれるんでしょ?」


「そんなこと言ってませんよ!

 僕はそこまで愚かではありません!

 レスリーさんもドナ先生も、それは誤解です!

 あくまで僕はガーベラさんの減刑をお願いするため魔導王朝に…!」


シーベルさんが熱い抱擁をしてきて…僕の頬へ唇が触れた。


「いや…私も女遊びをするなとは言わなかった。

 恩師であるガーベラさんを救い、生きて還ってくる約束は確かに果たしてくれた。

 確かに出発前の約束は守ってくれた…。

 そう、約束は…」


レスリーさんは溜息をすると、こめかみを抑えて頭痛に耐えていた。


「まぁ…魔導王朝遠征の間に何が有ったかまでは聞かないわ。

 別にアキヒトの私生活になんか興味無いもの。

 悪いのは私…。

 そう、悪いのは全部私よ!

 こんな馬鹿の案内人なんか引き受けた私が一番悪いのよ!

 馬鹿、私の馬鹿!

 願いが叶うならもう一度勇者召喚の儀式まで時間を遡りたいわ!

 こんな馬鹿を選んだ自分を引っぱたいてやりたい!

 馬鹿!馬鹿!馬鹿!私の馬鹿!!」


ドナ先生が歯を食いしばって過去の自分の行為を悔やんでいた。



バチィ!!



アヤ姉の張り手が僕の頬に炸裂した。


「さ…最低ね!

 必死な顔で魔導王朝へ戦いに行ったと思ったら何してんのよ!」


「ご、誤解だよ!

 僕は本当にガーベラさんを救うために…!」


「全然説得力無いわよ!」


シーベルさんが僕から離れようとしてくれなかった。

抱きついたまま頬ずりしてきて…アヤ姉やドナ先生の視線が氷点下よりも冷たい。


「だから僕はハーレムに興味なんて!」


「…あれ、違ったのか?」


またもやシロが余計なことを言い出し始めた。


「お前、一緒にシャワー浴びようとしてたじゃないか。

 その女が浴びてるのに入っていったよな?

 てっきり、その気が有るものとばかり…」



バチィィ!!



さっきより威力の増した張り手が反対側の頬に炸裂した。


「ア、アンタは!」


「違うよ、誤解だよ!間違えて入っただけだよ!」


アヤ姉は激怒していた。

冷静さを失ったこの状態では何を言い訳しても駄目そうだった…。



「ティ…!ティアさんは信じてくれますよね!?」


僕に残された最後の助け舟。


「僕、本当に魔導王朝にはガーベラさんを助けに行っただけなんです!

 決して遊びに行った訳じゃないんです!」


「え…えぇ、分かっていますよ、アキヒトさん…」


「ティアさん…!」


「私、殿方のそういったことには寛容ですからご安心ください」


「…え?」


「ただ、流石に私も快く思えないです…。

 余りハーレムの女の子を増やされるのは…ちょっと…。

 しかも時と場を考えずに…今回ばかりは感心できませんね…」


よく見るとティアさんの笑顔が引きつっていた。

最後の望みが絶たれた気がした。



「…別にハーレムの女くらい増やしたって良いだろ」


シロが無神経な発言を繰り返していた。


「むしろ褒めてやれよ。

 強敵と戦いながら女を探すなんて男らし」


バシッッ!!


ガンッ!


ガンッ!


ガンッ!


話が終わる前にアヤ姉の渾身の張り手が放たれ、シロに直撃していた。

床に当たって跳ね返り、更に壁に当たって、オマケに天井に衝突して…3回もバウンドした。


「アンタも同罪よ!!

 一緒に行動してたんならアキヒトを止めなさい!!」



再び僕とシロは仲良くアヤ姉から張り手を貰った。


魔導王朝の宗主ヴリタラ陛下の方が優しかった気がする。

命からがら我が家へ帰ってきたのに、この仕打ち…誰か僕に優しさをください…


優しさを…




「ねぇ、シロ…前にさ、ダチ公に遠慮するなよって言ったよね…」

「あぁ…そんなこと言った気もするな…」

「じゃあさ…これから僕の分も張り手を貰ってくれない?」

「う…」

「頼むよ…叩かれるの辛いから…お願いだよ…」

「すまない、アキヒト…それだけは俺でも願い下げだ…」


僕は大きく溜息をつき…がっくりと肩を落とした。



「ダチ公のお願いでも…?」


「ダチ公のお願いでもだ…」



―――――――――――――――――――――――――――


敗残兵団戦史


大陸歴996年10月5日開戦


場所 魔導王朝領内(朝都インダラから東部一帯)


投入戦力

アパルト級大型機動兵器  1基

ガリー級中型機動兵器   2基

インガム級中型機動兵器  5基

各クダニ級小型機動兵器 38基


兵団損失

アパルト級大型機動兵器  1基損傷

ガリー級中型機動兵器   2基大破

インガム級中型機動兵器  3基大破 2基中破

各クダニ級小型機動兵器 33基大破 3基中破


備考(後に捕捉)

ガーベラ・イーバーの極刑撤回に成功

魔導王朝軍に死者無し

魔導王朝社会に目立った損失無し

但し一連の軍事行動による魔導王朝軍戦費500億ソラ

(南方諸侯連合軍出兵の戦費は含まず)

賠償責任は無し



大陸歴996年10月12日終戦


第2戦 " ヴリタラ魔導王朝攻略 " 状況…未だ終了ならず




備考捕捉は第63話にて記述する



次回 第62話 『 決戦兵種 』

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