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孤独な粒子の敗残兵団  作者: のすけ
  第1戦後から第2戦 までの日常及び経緯
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第38話 『 アキヒト躍進 』


「アキヒト様、お目にかかり光栄で御座います…」


「いえ、様付けなんて止めてください」


「そんな訳にはいきますまい…。

 ケート山賊討伐を成された勇者様に敬意を払わねば、天罰が降りかかるでしょう」


大陸平原同盟首脳陣との会談後。

連日、アキヒトの自宅の前に面会を求める人々の行列が伸びていた。


「つきましては我が娘を是非、アキヒト様の傍に置いて頂けないかと…」


「ほ、他の方にもお断りしてるのですが、案内人の方々で十分に間に合ってます。

 ですからこれ以上は必要有りませんので…」


「そんなこと仰らずにご検討下さいませ。傍に置いて頂くだけで結構ですので…」


最も多いのは貴族達であった。

それもボーエン王国のみならず、平原同盟各国から足を運び訪れていた。

彼等は揃って一族の子女をアキヒトに仕えさせ近づこうと躍起になっていた。


その大半は辟易する面会ばかりだったが、中には本当に無視できない人達も姿を現した。


「我が商会長に代わり、お礼を申し上げます」


平原同盟を中心に大陸全体へ影響力を持つ三大商会。

ラーセン商会、カルーフ商会、リアンツ商会からもそれぞれ使いが来ていた。


「お蔭様でケート周辺の交易も再開し、業績も伸びつつあります。

 商会長からは是非アキヒト様へ厚くお礼を申し上げるようにとの仰せで…」


「いえ、此方こそ先日はご迷惑をお掛けしてすみませんでした。

 多大な損失が有ったにもかかわらず…こちらこそ感謝しています」


「あの程度の損失、これからの増益見込みに比べれば大した問題では御座いません。

 それより先日はアキヒト様もお忙しく碌にお話もできませんでした。

 これから何かご用命の際には、我等カルーフ商会を是非ともご贔屓に…」


「すみません、僕はお金の持ち合わせが全く無いので何も…」


「はは、御謙遜を。宜しくお願い致します」


謙遜じゃなく、本当にお金なんて無かった。

今の僕は司教様から支給される生活費以外に持ち合わせが無い。

無一文に近くレスリーさんの資産を取り戻すには余りにも程遠かった。


「……あれ?」


「どうしたの、シロ」


「なんか俺達…とてつもなく大切なこと忘れて無ぇか?」


「や、止めてよ!

 タダでさえ問題が山積みなのに、これ以上不安なことを言うのは!」


「そんなつもりは無ぇよ。

 ただよ、今の金の話で何か思い出せそうで思い出せなくてな…」


「じゃ、思い出さなくて良いよ」


面会の列は続く。

朝から始まった行列は夕方になっても途絶える気配は無かった。


「アキヒトも疲れたんじゃない?

 まだ並んでる人、かなり多いし…今日は帰ってもらおうか?」

「うぅん、折角足を運んで貰ったんだから会わないと失礼だよ。

 僕は大丈夫だから」


アヤ姉が気を利かせてくれたけど、最後まで会うべきだと思った。

そして最後の面会が終わった時は夜も更け、日付が変わろうとしていた。


「よく頑張ったわね、アキヒト」

「うん…疲れたよ。

 けどさ、アヤ姉の方がもっと疲れたんじゃないの?」


自分は椅子に座ったままだったが、アヤ姉は隣でずっと立ち詰めだった。


「案内人なんだもの、これくらい平気よ」


「それもそうなんだけど…アヤ姉、凄いね。

 こんなに大勢の人が来たのに、全員の紹介ができるなんて」


当然だけど、まだ僕はこの世界の実情に疎い。

だからこそ案内人の補佐が重要なのだが、アヤ姉の働きには目を見張る所があった。

その人が名乗りを上げただけで出身、素性等の紹介というか説明をしてくれた。


3大商会の方々が来られた時は商会長、内情、得意分野まで詳しく教えてくれた。


『さすがはエルミート家の令嬢…よくご存じで』


アヤ姉の博識には驚いていたようだ。


『たまにはアヤも役に立つんだな』


『たまにはって何よ!』


シロを面会客の前で引っ叩くのはどうかと思ったけど。


最初にアヤ姉が面会人について説明してくれたので、話がスムーズに進んだ。

僕一人で予備知識が全く無い状態では、話が進まなかっただろう。



「ありがとう、アヤ姉。

 けどさ、もう遅いから早く帰った方が良いよ。公爵様も心配していると思うし…」

「そうね…もうこんな時間だし」

「送っていくよ、暗い夜道に女の子一人なんて危ないから」


「問題無いわ、帰りの馬車を待たせてるから。

 それから一つ言っておくけど、もう私の家に来ちゃダメよ?」


「…うん、分かったよ」


「もう、私のお父さんとは会わない方が良いから…」


アヤ姉の言葉も至極当然だった。

何とか案内人として今も続けさせて貰えているけど、公爵様は非常に不本意だと思う。

出来得るなら今すぐにでも止めさせたいのだろう。

それに案内人の仕事だからといって、こんな真夜中まで引き留めておくのも申し訳なかった。

一人娘の帰宅が遅ければ、父親が心配するのも当然だと思う。



「…やっと終わったね」


3日程は行列が続いたけど、ようやく面会に訪れる人の姿が無くなった。


「そうね…ようやく一息つけるわ」


同席していたアヤ姉もお疲れだった。

これでしばらくは落ち着いていられる…かと思ったが、自宅の光景が少し変わっていた。


「…なんで、ドナ先生がここで勉強してるの?」


僕達が面会をしている最中、いつの間にかドナ先生が居間の一画を占領していた。

何時の間にか設置されている広めのテーブル。

書類が並び書籍が積み上げられ、何か難しそうな論文に目を通していた。


「図書館には居られないからよ」

「なんで?」

「私にも面会が殺到しているからよ!」


ドナ先生は無茶苦茶不機嫌だった。


一人静かに王立図書館の閲覧室で本を開いていたら、声を掛けられた。

最初は適当に談笑していたが、気付いたら閲覧室に向かって行列が産まれていた。


聞いた所によると、僕の案内人だから知己を得たいらしい。

いずれドナ先生も高い地位に就くだろうと…それを見込んで多くの人達が近づいてきた。


「ここ、私の場所よ!文句ないわね!?」


嫌気が指してドナ先生は避難してきた、とういう訳だった。


「すみません、ドナ先生…勉強の邪魔をしてしまって」

「良いのよ、私なんて遥かにマシだから」

「え…それって」


「アキヒト…足りない頭を使って想像力を働かせなさい。

 後見人のお父様に面会が無いと思っているの?」


頭が痛くなってきた。


レスリーさんは人が良いので、面会を求められれば決して断れなかった。

その面会目的の大半は再婚相手の紹介。

奥さんを亡くしてから、ずっと独り身のレスリーさんに再婚話が無かった訳では無い。

だが亡き奥さんを簡単に忘れることもできず、その類の話は全て断ってきた。


その再婚話が再燃していた。

つい最近まで資産や屋敷を失って誰も見向きさえしなかったのに。


しかも何処からともなく、僕が新しい王位に就くという噂が流れていた。

だから僕が王様になればレスリーさんは宰相の地位に就くと囁かれているらしい。

だから未来の宰相夫人の地位を狙い、見合い話が殺到しているという。


「あ…ははは……」


僕はどれだけレスリーさんに迷惑を掛け続けることになるのか。

一生どころか来世の分まで使っても、レスリーさんに恩を返せるかどうか不安だ。


「本当にすみません…レスリーさんにもドナ先生にも…」


「良いわよ、もう諦めてるから」


地味に酷い。




そして僕は、もう一方の父親にも謝らなければいけなかった。


「アヤ姉…今度、公爵様に会えないかな?」

「お、お父さんに?」

「うん、試験のやり直しをお願いしようと思うんだ」

「なぜ?もう合格したから必要無いでしょ」

「うーん…ダメだよ、やっぱり。

 自力で試験に合格したんじゃなくて、シロの力に頼りっぱなしだったからね」


そう、あの試験は限りなく不正に近い気がする。


「別に良いじゃねえかよ、アヤの親父さんも認めた条件通りなんだからよ」


「シロは言ったじゃないか、お互いが納得いくように結論を出そうって。

 あれじゃ、公爵様が納得されてると思えないよ。

 シロの力を借りても良いって条件だけどさ、そのシロの兵団が強すぎたし。

 山賊相手じゃ単なる弱い者いじめだよ」


「ぐぅ……そうかもな」


「あの試験では公爵様を騙したと同じだと思う。

 まさか、ここまでシロが強いなんて誰も思わなかったからね。

 それにさ、やっぱり僕は弱いよ。

 シロと兵団の力が無ければ、僕一人じゃ何もできなかった。

 それじゃダメだと思うんだ。

 だから、今度は僕一人の力で試験を受けることにする」


「待て、無茶をするなよ。さすがにお前1人で試験なんて…」


「大丈夫だよ、レスリーさんも話してたけど試験内容を見直すことになってたから。

 次は無茶苦茶じゃない、常識内の難易度だったらしいからね。

 僕一人では難しいかもしれないけど、絶対に不可能じゃないと思う。

 たくさん苦労して、いっぱい努力して、一生懸命頑張れば何とかなる気がするんだ。

 でなければ、アヤ姉を案内人にする資格は無いよ」



「――その通りよ、アキヒト」


ドナ先生が読んでいた本を閉じた。


「兵団だか何だか知らないけど、自分の手柄みたいに威張ってたら引っぱたいてわ」


「はは…」


「トリス公爵はアヤが絡めばとても厳しい御人よ。

 山賊討伐には劣るけど、それでもかなり難しい試験をお出しになるでしょうね。

 しかし頑張りなさい。

 決して不可能では無いはずよ。

 それで頑張って、自力ではどうにもならないと思ったら私を頼りなさい。

 その時は助けてあげるから」


「え…ドナ先生に助けてもらうのは反則じゃ…」


「この世界の中ではね、自分一人の力で出来ることなんてほんの僅かよ。

 結果を出すためにはどうするか?

 それには自分だけじゃなく、多くの人達の助力を仰がねばならないの。

 その助力を如何に得るのかが重要で、そこも試験評価の一部になるでしょうね。

 トリス公爵だって、そのくらいはご理解されてるわ」


「ありがとう、ドナ先生!僕、頑張るよ!」


「フッ…案内人として当然の義務を果たしているだけよ。

 礼を言われる程じゃないわ」


「さすが2号だぜ」


「誰が2号よ!」


シロがドナ先生に本で引っ叩かれて吹き飛んでいた。




気付くと、その一方でアヤ姉が憂鬱な顔をしていた。


「あ…あのね、アキヒト…これ以上、試験のことは考えなくて良いから…」


「いや、そういう訳にはいかないよ」


「い、良いのよ!レスリーさんにも話しておくから!

 再試験のことは忘れなさい!」


アヤ姉に押し切られて、この話は無しになってしまった。






――前日の夜、アヤは父親のトリス公爵に呼び出されていた。


『何か用?』


父親の言いたいことは想像がついていた。

アキヒトの自宅には連日面会希望者が行列を成し、その対応は夜遅くまで続いていた。

その為にアヤ自身も帰宅が遅くなっていており、それが機嫌を損ねていると。


『最近は案内人の役目が忙しくて帰りが遅れてるのよ。

 だから決して遊んでる訳じゃないんだから』


『それは分かっている』


『じゃあ、何?

 アキヒトは試験に合格したんでしょ?

 お父さんが何と言おうと私は案内人を続けるから』


『そんなことも分かっておる。

 私を見損なうな。

 エルミート家の当主として約束すると、一度この口で宣言したのだ。

 たとえ証明する文書が無くても絶対に約束は守る。


 それより…お前には謝らねばならん』


父親の表情が普段より沈んでいるのに気付いた。


『な…何かあったの?』


『…亡きアグワイヤ夫人は知っているか?』


『え…えっと、レスリーさんの亡くなった奥さんね。

 とても頭の良い人だったと聞いたけど…』


『そう、故カレン・アグワイヤ夫人だ。

 私も何度か会ったことはあるが、才色兼備という言葉が彼女以上に似合う女性は居ない。

 とても美しい夫人だったよ。

 街を歩いてたら、どんな男も振り向かざるを得ないような女性だった。

 しかもレスリー子爵以上の頭脳の持ち主だったな。

 子爵も相当頭の良い人物だが、夫人には一歩及ばないと私は思う。

 彼女が存命なら大陸平原同盟にとって、どれだけ有益な人物であったか…。

 今から20年近く前になるかな。

 当時は王宮からもお声が掛かるような…そんな素晴らしい女性だった。

 過去形なのが本当に惜しい…』


『そう…それがどうしたの?』


『以前、レスリー子爵との間に産まれた娘を見たのだ。

 面影が若い頃の彼女によく似ている…』


『あのドナがねぇ…』


『おそらく、あと5年もすれば夫人に負けぬ美貌の持ち主となろう。

 しかも才知は既に同盟内でも知れ渡っておる…』


『…お父さん、一体何が言いたいの?』


『すまぬ、アヤよ…お前を極めて不利な立場にした父を許してくれ…』


『え?え?』


『お前は決してアグワイヤの娘に負けておらん。

 いや、この父の贔屓目に見た分を差し引いても上だと信じている』


『な、なんなの?』


『だがレスリー子爵は後見人であり、我々は既に劣勢に立たされている。

 しかも娘は夫人譲りの美貌と頭脳の持ち主…。


 困難であるのは承知しているが、敢えて頼む…!


 アヤよ……何としても第一夫人の座を勝ち取るのだ!』


『………え?』


『極めて不利な状況に追い込んだ不甲斐ない父を許してくれ!

 私が後見人だったら、こんなことには…!

 もっと有利な状況になれたものを…!

 だが、あえてエルミート家当主としてお前に命令する!


 アグワイヤの娘に、アキヒト第一夫人の座を奪われるでないぞ!』


『バ…バカァ!!!』



面会の波は案内人であるアヤの父親、トリス公爵にも及んでいた。

以前までは令嬢がアキヒトの案内人をしていた事実に懐疑的な声も多かった。


"なぜトリス公爵ともあろう御人が、大切な一人娘をあのような少年に?"


他家の子女達は、強力な勇者達の案内人の座を奪い合っていたというのに。

力も神獣の加護も無い少年をエルミート家の令嬢は選んでいた。

国内貴族最大派閥の長が何を為さっているのか?

一部では長としての地位を危ぶむ者さえいた。


だが、少年が兵団を率いて山賊討伐を成し遂げると事情は一変した。

派閥内どころか対立派閥からまでもがトリス公爵への面会を求め傘下に加わってきた。

令嬢の先見性、それを見越したトリス公爵の采配。


"さすがはトリス公爵!我が不明を恥じいるばかりです、お見逸れしました!"


貴族派閥の長の地位は揺るぎないものになった…かに見えた。


新たな王位に就くとまで噂されているアキヒトという少年。

その第一夫人の父親が宰相職に就くであろうことは誰でも容易に想像がつく。


だが、アキヒトの後見人はレスリー・アグワイヤ。

しかも令嬢のディオーナは母親譲りの美貌と才知の持ち主である。

もしくはトリス公爵の令嬢の、どちらかが第一夫人の地位に就くのは間違いないであろう。


レスリー子爵は野心の無い人物だが、これまでアキヒトに多大な貢献をしている。

資産の多くを失っても、アキヒトへの助力を惜しまなかった。

対してトリス公爵には何の目立った貢献も無い。

組織力、手腕としては遥かにトリス公爵が上だが、レスリー子爵はアキヒトの後見人である。

これまでの貢献からディオーナを第一夫人とする可能性は十分に有り得る。

その場合、宰相職はレスリー子爵に…という図式が成り立っていた。



『お前が第二夫人では私の立場が無いのだ…。

 頼む…父を助けてくれ…』


『知らないわよ!』



しかしトリス公爵は諦めていなかった。


隙有らばアキヒトを招き、エルミート家へ迎えるべく準備を進めていた。

先に婚姻を結び、強引に第一夫人の座を勝ち取ろうとしていた。






「アキヒト、約束しなさい!

 私の家には絶対来ちゃダメだからね!

 良いこと、絶対によ!?」


「え…一度公爵様にはお詫びしないと…」


「良いから!あんなの忘れなさい!」


アヤ姉の口振りからして、公爵様は相当怒ってなさるのだろう。

今は何も刺激しない方が得策らしい。

下手をしたらまた案内人を止めさせられるかもしれない。


結局僕は渋々ながらもアヤ姉の言葉に従うしかなかった。




それからも時折、面会希望者は現れたが少なくなっていた。


「…はい、お茶を淹れました」


「有難うございます、ティア先輩」


なぜかドナ先生が今も自分の勉強スペースを確保して陣取っていた。


「アキヒト、必要な書籍をリストにしておいたわ。

 図書館から取って来てね」


「うん、分かったけど…なんで図書館に戻らないの?」


「ティア先輩のお茶とお菓子が美味しいからよ。

 お陰で色々とはかどるわ…。

 貴方も図書館に行く面倒も無くて良いでしょ?」


書籍のお使いをするなら、図書館に足を運ぶのは変わらない気がするんだけど。



「…誰か来ましたね」


ティアさんが人の気配をいち早く察していた。


「――よぉ!」

「イスターさん、久しぶりです!」

「元気にしてたみたいだな!」


扉が開くと、普段の法国騎士の白装束で入ってきた。


「お前の噂、聞いてるぞ。

 かなり無茶苦茶やらかしたらしいじゃないか」

「あ…あははは…」

「本当は剣の稽古をつけてやりたいんだが、その件で話をしに来た。

 まぁ、長くなるからここで…」


「――また誰か来ましたよ」


再びティアさんの気配察知。


「イスターさんが来たならガーベラさんかもしれませんね」


「あんなヤツと一緒にすんな!」


ティアさんが扉の方へ行き、来訪者を招き入れた。

通されて入ってきた2つの人影が目の前に


若い男性と女の子。

その男性の方を目にした瞬間だった。


「……あぁ!!」

「うぁああ!!」


思わず僕は立ち上がり、シロと同時に悲鳴に近い声を上げてしまった。


「どうしたのよ、お知り合い?」


そう…ドナ先生は知らないけれど、僕はこの人を知っている。シロも。


シロが言っていた、思い出せそうで思い出せないことが一瞬で理解できた。


これは非常にマズかった。

またレスリーさんに謝らなければいけないことが増えたのだから…。


その男性の方は僕達に向かって丁寧にお辞儀をし…にっこりと微笑んだ。


「またお会いできて光栄です、アキヒト・シロハラ様。

 そういえば、まだ名乗っておりませんでしたね…。


 私、ラーセン商会番頭のケーダ・ラーセンと申します」



そう、この人は



「お借り上げ頂いた金子2000万ソラについて、お話をしたく参りました」



次回 第39話 『 2000万ソラの代価 』

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