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孤独な粒子の敗残兵団  作者: のすけ
  第3戦後から第4戦 までの日常及び経緯
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第116話 『 スタン、この子を見て!私の可愛い"ベルシーマ"よ!(1/4) 』



ケーダ・ラーセンが人と面するにあたって臆する事態など皆無に等しい。

ラーセン商会の若き番頭は常に堂々と面会し、理路整然と論を並べる。

たとえ相手が要職であろうと、どんなに身分が高い人物であろうと姿勢は変わらない。


だが、そんな彼にも苦手な人物が存在する。



ボーエン王国城塞都市、その商業地区中央通りにラーセン商会は本店舗を構えていた。

大陸平原同盟では三大商会と評される一つ。

商会の力と権威を象徴し、同規模の建造物はカルーフ商会とリンツ商会しか所有していない。

此処は全33支店を統括する中枢部であり、ラーセン商会の全ての機能が集約されている。


その最上階を、ケーダ・ラーセンと付き添いのシーベルが歩いていた。


「ふんふーん♪」


大理石の床が続く通路。

先を行くシーベルのにこやかな笑みに対し、後に続くケーダの表情は果てしなく重い。


「…くっ!」


突然、ケーダが腹部を抱えると、その場に膝を付いた。


「と、突然、痛みが…!早く医者に!」


「後でね」


「急用を思い出した!2時から人と会う約束が…!」


「この後で会ってね」


「そうだ、今日は大切な決算が…」


「お仕事は全部、この後でね」


全く動じる様子も無く、シーベルは歩みを止めようとしない。


「お…お前は、私の考えが分からないのか!?」


「誰よりも分かってるよ。

 今の兄さんに何が一番必要なのかも」


「お前は…!」


「さ、早く。待たせたらダメ」


シーベルが強引に立たせると、背中を押して歩かせた。

渋々といった様子でケーダも奥へと進み…とある扉の前で立ち止まった。


「さ、入って」


「付いて来てくれるんじゃないのか!?」


「たっぷり絞られてきてね♪」


満面の笑みでシーベルが手を振ってさよならしてた。

観念するとケーダは深呼吸をして息を整え、扉をノックした。


「…良いよ、入ってきてくれ」


中から穏やかな男性の声がすると、暗い表情のケーダは更に肩を落とした。

留守だったら良かったのに…と呟きながら、シーベルの笑顔に見送られて入室した。


「久しぶりだな、ケーダ」


部屋中央の書類が積み上げられたデスクに1人の青年。

嬉しげに笑みを湛えた男性がペンを置いて立ち上がった。


「あ…はい、まぁ…」


得意先の取引相手やアキヒトが見たら驚くかもしれない。

日頃は弁舌の達人として知られるケーダが、この時は委縮して口ごもらせていた。


「丁度仕事が一段落したところなんだ。

 そうだ…この前、南方産の良い茶葉が入ったから淹れてやろう」


「そんなこと、給仕にでもやらせれば…」


「これはこれで良い気分転換になる。

 番頭の仕事ばかりしていては気が滅入ってしまうからな」


「番頭は番頭の仕事に没頭すれば良いんです。

 その方が業務も効率的で、時間を最大限に有効活用できますから…」


「お前は考えが合理的すぎるんだよ。

 それにお前、番頭の仕事は完璧かもしれないが、ソレ以外はどうなんだ?

 お茶の淹れ方一つだけでも、学ぶことは数多くある。

 もっと視野を広く持つべきだと私は思うぞ」


青年は楽しそうに話ながら、茶葉をカップに入れてお湯を注いでいた。


ふとケーダが室内を見回すと、木目調の棚の食器が更に増えているのに気付いた。

青年は紅茶に凝っており、カップやソーサーを趣味で揃えていた。

茶葉にもこだわり、美味しい淹れ方も彼なりに研究している。

仕事一辺倒のケーダとは異なり、この青年は幅広く趣味を嗜んでいた。


スタン・ラーセン、26歳。

ラーセン商会の番頭として名を連ねる1人であり、次期会長と目される人物。


ケーダとシーベルの異母兄である。


「そちらの様子はどうだ?」


「先日、本店へ定期報告出したばかりですよ」


「数字だけでは分からんこともある」


「我々商人は数字が全てです」


「…本当にそう思ってるのか?」


スタンが笑いながらカップに口をつけた。


「お前のお陰で、今やラーセン商会は飛ぶ鳥を落とす程の勢いだ。

 だが、その勢いゆえに気付けない面もある。

 その点、慎重さが服を着て歩いているお前なら何か見えてるんじゃないか?」


「…買い被りですよ」


「謙遜など似合わんぞ。

 お前の才覚と能力は誰の目からも明らかだからな。

 本当にお前はよくやったよ」


ケーダ・ラーセンは決して、この腹違いの兄が嫌いでは無い。

今も皮肉でなく、本心から自分の業績を褒めてくれている。


しかし非常に居心地が悪かった。

そもそもケーダは、腹の底の読めない連中を相手にする方が性に合っていた。

表面上は満面の笑顔で接しつつも決して腹を探らせない。

にこやかに談笑しつつも己と相手の利を計算し、線を引いての主導権を奪い合う。

そこには情愛などは一切存在せず、あるのは理と利のみである。


「私の方も大忙しだ、お陰で売り上げも大幅に上がってる」


「は…はい、それは何よりです」


「お前の働きがあってこそだ、父さんも内心では喜んでいるだろうさ」


おそらくは向き不向きがあるのだろう。

この兄も、決して腹黒い相手との交渉ができない訳でもない。

単なるお人よしでは無いが、そういった点ではケーダが遥かに優っていた。


褒めてくれるのは嬉しい…と言いたいが、実際は痒い想いがあった。

他者から褒められれば胸を張って功績を誇れるが、肉親から称賛されるのは居心地が悪い。


「…そう、今の商会の利益は順調に伸びている。

 それはお前だって分かっている筈だ」


「はい、そうですが…」


「――『 黒衣 』と会っているそうだな?」


一転して、スタンの言葉が重くなっていた。


「何のことですか?」


「シーベルが教えてくれたよ、お前が危ない人達と会っているとな」


「アイツ…!」


ケーダがシーベルを交渉の場へ同席させるにあたって、幾つかの決まり事をしている。

その一つが交渉内容を外部に決して漏らさないこと。


「何を言う、私としては褒めてあげたいくらいだ。

 それにシーベルはそこまでおしゃべりでも無いぞ。

 あの子は『黒衣』と教えてくれただけで、内容に関しては一切黙っていたからな」


「…これは私の問題ですから」


「そんな筈が無かろう!

 お前はどれだけ危ない橋を渡れば気が済むのだ!?」


「商人なれば、大きな商機を掴むために危ない橋を渡るのは当然かと」


「危険すぎると申しておるのだ!

 商人ならば取引に失敗して、金を失うのは已む無きことかもしれん!

 しかし、お前の場合は金どころか自らの身命すら失いかねないのだぞ!?」


仮に、スタン以外の者が同じ発言をしたらどうであろう。

ケーダの躍進を阻むため、理由をつけて事業を中断させる…と、深読みするかもしれない。

しかし目の前の兄が、本心から自分を心配してくれているのは知っている。

幼い頃から、腹違いの自分を紛れも無く実の弟として接してくれた。

母の第一夫人は、そんなスタンを腹立たしく見ていたが、決して自身を曲げなかった。

その証拠にケーダの母である第二夫人が亡くなった後、最も庇ってくれたのはスタンである。

母亡き後、第一夫人はケーダとシーベルをラーセン家から追い出そうと画策していた。

使用人から商会の者達まで、あらゆる者達に圧力をかけてきた。

しかし、真っ先にケーダを守ってくれたのは腹違いの兄のスタンであった。

兄は実母から不興を買おうと、ラーセン家にケーダとシーベルの居場所を作ってくれた。


敗残兵団が魔導王朝領へ侵攻した際、会長や主だった番頭達から査問に掛けられた。

兵団の協力者として、後日魔導王朝から糾弾されるのは明らかである。

だからラーセン商会を守る為、会長と番頭達はケーダを魔導王朝へ差し出そうとしていた。

あの時、スタンが査問会から外されていた理由は直ぐに理解できた。

兄ならば真っ先に自分の盾になってくれたであろう。

ケーダを犠牲にせず、他の手段を模索してくれたの違いない。

いや、もしかしたら代わりに自分が犠牲になるとまで言いだしたかもしれない。

会長の…父なりの配慮だったのであろう。


そんな心の底から自分の身を案じてくれる兄の言葉である。

普段は饒舌なケーダ・ラーセンも、中々言葉を返せないでいた。


「お前が陰で何をして、何を求めているかまでは分からん。

 ラーセン商会は大きな利益を上げ、カルーフ商会以上に名を上げることもできた。

 これ以上、お前は何を欲すると言うのだ?

 今までのやり方でさえ、常人なら100回は身を滅ぼしているぞ?

 お前が今も無事でいられるのは、確かに商才が優れているのもある。

 だが、運が良かったとも言えないか?

 お前の母さんが、あの世で見守ってくれるからこそ、今も無事だと…そう思わんか?

 今までの幸運と亡き母さんに感謝し、考え直してみてはどうだ?」


「母を話に出してくるのはズルいですよ」


「あの人の代わりに私が言葉にしているのだ!

 生きておられたら、間違いなくお前を止めようとしていただろう!

 死の間際だって、私はお前とシーベルのことを託されているのだぞ!」


スタンの言葉には反論の余地も無い。

特に敗残兵団絡みで、ケーダは何度も破滅しかかっていた。

一時は魔導王朝へ引き渡される直前まで、商会内での立場を危うくしていた。


「…分かりましたよ。

 それでは護衛を増やしますし、可能な限り危ない橋を渡るのも止めます。

 商会に御迷惑をかけないことを改めて約束します」


「それだけでは無い…『黒衣』とは今直ぐにでも手を切るんだぞ?」


「申し訳有りません、既に契約済みなので白紙に戻すのは不可能です。

 ですが、彼等との取引はこれっきりです。

 以降、関係を持つことは無いと約束しますよ」


「ならば仕方ないが…今回だけだぞ?」


「えぇ、自分もその積もりでしたから。

 仮に万が一、彼等と何かしら接触する時は兄さんに知らせますよ」


「約束だからな?」


話し始めて15分程度なのに、通常の商談3時間以上に匹敵する程の疲労を感じた。

主題も終え、そろそろ退室しようかと考えた時だった。

テーブルの上に積み上げられた身上書の束が、ケーダの目に留まった。

華美なソレは、明らかに商会の業務とは雰囲気が異なっている。


「何です、コレは?」


「こ、こら!見るな!」


全く躊躇することなく、ケーダは身上書を開いて中を覗き込んだ。


「へぇ…見合い状ですか」


「見るなと言っているのが分からんのか…!」


遠慮の欠片も無く、次から次へと兄の見合い相手の身上を目に焼き付けて行った。


「…随分と皆様、家柄の高い御方ですね」


「母さんの紹介だよ。

 自分は断ってるんだが、次から次へと…」


ケーダには第一夫人の思惑が一瞬で理解できた。

この見合い状の女達は全て第一夫人の実家の公爵家が絡んでいるのだろう。

次期会長と目されるスタンの正妻として、ラーセン家へ入り込ませる。

要するに、いずれはラーセン商会を公爵家が掌握しようと…分かり易いお見合い状である。


「しかし、こればっかりは兄さんの方にも非がありますよ?

 そんな歳になっても、女性の噂は有りませんし…」


「うぅ…それはな…」


「だって、そうでしょう?

 他の商会でも兄さんくらいの歳の番頭なら、妻を娶っている者たちばかりです」


「確かにそうなんだが…」


本気で兄に配偶者をと、考えている訳でも無い。

先程までお説教されていたケーダである。

別れ際に、せめて反撃の一つでもせねばという…要するに幼稚な仕返しである。


「こんなに見合い状が来てるのに、全てお断りされるというのも失礼かと。

 それとも他に意中の御方でも居られます?」


「……」


ケーダ個人は、軽口を叩いただけのつもりである。

けれどもスタン本人は、その言葉を真面目に受け止めていた。


「…兄さん?」


「…あぁ、お前の言う通りだ。

 私には好いている御方がいるよ。」


「そ、それは初耳ですね。

 兄さんは昔から、そんな気配が全くありませんでしたから…」


「私だって男だ、意中の女性の1人くらいいても不思議で無かろう?」


幼少から一緒に育ってきた兄である。

どんな女に惹かれているか、ケーダが興味を抱くには十分な材料だった。


「気になるなら交際を申し込めば宜しいでは無いですか?

 それとも…それができない事情でも?」


「ふむ…」


「もしや…既婚者ですか?

 人妻を娶るのは難しいですが、ラーセン商会の力を使えば不可能では…」


「違うわ!

 人聞きの悪いことを言うな!」


「じゃあ、どんな事情なんですか?

 折角の機会なんだから教えてくれてもいいでしょう?」


「…王侯貴族の会合だよ。

 何かしらの名目で宴を開いているが、お前も何度か足を運んでるよな?」


「はい、ボクも商人の端くれですからね」


ボーエン王国のみならず、各国の王侯貴族達は宴を開いて人々を招き寄せる。

その実態は人脈作りであり、自身の顔を売る為の手段である。

大抵の商人ならば、多くの会合に顔を出して名を売るのが定石であろう。


「…で、それがどうかしましたか?」


「私が中等部に上がった時だ、父さんがとある会合へと連れて行ってくれた」


「なるほど、それが兄さんの社交界入りだったんですね」


「右も左も分からない子供だったよ。

 普段では見たこともない、綺麗な服を着て父さんに出席させられたんだ…」


おそらくは母方の実家である公爵家の口利きであろう。

その縁で父、スティーン会長は会合への出席が許されたのだとケーダは推測する。


「当時の父さん…というより、商会はまだそこまで大きくなかった。

 だから会合の前に、父さんから何度も注意されたよ。

 父さんも初めて貴族達との会合だったからね、礼儀作法は厳しく覚えさせられた。

 自分達は新参者だから、くれぐれも油断しないように…とな」


「父さんも初めてだったんですか?

 なのに兄さんまで…親子で参加なんて珍しいですね」


「その会合を主催されていた御方の方針だよ。

 本人のみならず、息子の私を含めて人物を見極めようとしていたんだろうね」


ケーダは中々に思慮の深い人物という印象を受けていた。

誰かを見極めようとするなら、その子と会ってみるのが一番手っ取り早い。


「会合に出る直前までは怖くて逃げだそうとしていたよ。

 けどね…実際に行ってみると…」


ボーエン王国の中でも有数の豪邸だった。

その煌びやかな会場に、多くの有名人や実力者達が集っていた。

ボーエン王国のみならず、平原同盟、魔導王朝、神聖法国から人々が訪れていた。


そして少年スタンは彼等の中心の人物から目が離せなかった。


主催の人物は、まさしく光り輝くような存在だった。

誰もが名の通った人物であったが、その主催には等しく首を垂れて敬い、畏まっていた。


全ての人々を魅了する、英雄としての資質を備えていたと…今のスタンになら理解できた。


「その主催の御方はとても素晴らしかったけれど…。

 それからも何度か会合には父さんに頼んで出席させて貰ったけどね。

 本当の目的は別にあったんだよ」


「それが件の女性だったんですね」


「そう…それがあの御方の御息女だったんだよ」


英雄の傍に控えていた少女。

少年スタンが今までに見たことも無い美しい子だったという。

賞賛されるのは外見ばかりでは無く、実際に言葉を交わせば聡明であるのが分かった。

当時は中等部のスタンだったが、少等部の彼女はそれ以上に大人びていた。

同席していた多くの大人達も、会話するにつれ彼女との年齢差を忘れ去っていた。

それでいて一旦微笑めば、どんな暗い場でも明るくすることができた。


まだ幼かったが、少年スタンの心を惹くには十分だった。


「兄さんが中等部に上がったばかりでしたら…その女性も今では良い年ごろですね」


「そう…だな」


「話を聞く限り、かなり御身分の高い女性のようで…当然、婚約者もおられるでしょうね」


「いや、それは無い。

 その御方の家も没落して今は平民暮らしだよ」


「なるほど、そういうことですか…」


ケーダには8割方の事情を察することができた。

派閥同士の抗争で、敗北側の貴族が平民落ちや海外逃亡の話などありふれている。


「私の出番のようですね!」


勢いよくケーダは、その場で立ち上がった。


「何も心配する必要はありません!

 その御方に今も恋慕の情を抱いてるのでしたら、この私が全力で応援しますよ!

 他ならぬ大切な兄さんのためですから!

 恋に身分なんてありません、見事に成就させてあげますよ!」


「白々しいぞ。

 お前は私の母さんに嫌がらせしたいだけだろ」


「ははは、何のことやら?」


少々大袈裟だったかなと自覚しつつ、ケーダは再び腰を降ろした。


公爵家出身の第一夫人が、平民の女を息子の嫁になど決して許すはずが無い。

そんな女をスタンの嫁として全力で応援するケーダは、嫌がらせ以外の何物にも見えない。


けれどもケーダ自身、兄の嫁となる女性の出身など微塵も気にしていない。

仮に第一夫人が薦めた女性を見初めて幸せな家庭を築くなら、それで構わないと思っている。

兄さえ好意を抱くなら、相手が王侯貴族だろうと平民だろうと関係無い。


第一夫人への当てつけという形でしか、兄を素直に祝福できないのがケーダという人物である。


「どちらにしろ、無理なんだよ」


「なぜです?今のラーセン商会の力を以てすれば、平民の女1人を娶るなど容易いかと」


「…まだラーセン商会にはそこまでの力が無い」


兄の言葉にケーダは即座に事情を推察した。


「その女性…平民落ちする前は、かなり大きな政敵を相手に?」


「…私は意気地なしで卑怯者だよ、ケーダ。

 今だって、彼女の身を案じているのだが…ラーセン商会の看板を背負ってるとな」


現在、ラーセン商会は回廊開通によって最も恩恵を受けている。

その勢いは飛ぶ鳥を落とす程であり、スタンはその商会の次期会長である。

望めば何でも手に入る力を持ちながら、実際は平民の女性1人すら救えないと嘆いている。


「…この話はそこまでだ。

 ケーダ、さっきの約束はしっかり守れよ?」


「分かってますよ。

 これで今日は帰らせて貰いますが…最後に1つ良いですか?」


「なんだ?」



「その主催の御方の名は?」


「………話はそこまでと言っただろ」



腹違いの兄はそれ以上、何も教えてくれなかった。


しかしケーダ自身、そこまで口を挟む話題でも無いと理解していた。

落ちぶれた貴族など、それこそ掃いて捨てる程転がっている。


今後、自分や兄と関わることは無いと…そう思っていた。



次回 第117話 『 交易都市の夜 』

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