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「脳筋の騎士共が、ろくなことを考え付かんな!
四歳の子供を親から引き離して連れて行こうとするか!
ひとでなし共が!」
ものすごーく嫌そうな顔だったが、ラモントは譲らなかった。
彼は敵国の騎士だもの。護送を命じられた人質を全部失って、自分だけ戻るわけにはいかないのだ。
母上は現国王の従兄弟だから、その血を引く姫さんも、凄く順位は低いけど、一応ローランディアの王位継承権を持ってるんだ。
国境の砦の司令官に会いに行き、母上と副官がダーラムシアに滞在する許可を出してもらう。
「まったく。子供の病気の一覧でも作って、もう一度脅しておくかいの」
薬師の婆さんはそう言ってくれたけど、反対していた母上も、結局折れるしかなかった。
「騎士の名誉にかけて、全力を尽くしてお守りします」
ラモントは母上に誓う。
一旦心を決めると、母上は気丈に姫さんを諭した。
「騎士ラモントさんと兵隊さんの言う事をよく聞くのですよ。
ノアも四つの時に人質になったの。貴方も、頑張って。良い子でいてね。
父上に会ったら、私は大丈夫だと、きっとまた会えると伝えて頂戴」
姫さんの身分証明書、父上への手紙をラモントに託し、母上は自分の印章入りの指輪にひもを通して、姫さんの首にかける。
「元気で、マリアン。きっと、きっとまた会えるわ」
そして、俺にも。
「マリアンを頼むわ、「ねこさん」
あなたはとても頭のいい犬。どうかマリアンを守ってね」
うん。母上。俺、頑張るからね!




