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ノアが何も知らなすぎるので心配になったのか、サラは道々ダーラムシアの話をしてくれるようになった。
「ダーラムシアの今の王様、あんたの父上は、アレクサス・モント・ダーラム三世。
最初のお妃の子、一番上の王子アレクセイは帝国に留学中だ。
二番目と三番目の王子は亡くなってて、二番目のお妃の子が三人、ロート、ハモン、リール。
三人とも、都の魔法学院の生徒。あ、ロート王子はもう先生だったかな。
この三人は、ステットラン公爵という母方のおじいさんが後ろ盾についてて羽振りがいいんだ。
あ、いばってるってことさ。
あんたも、きっとその学院に行くことになるよ」
「そこで魔法を習うの?」
「ああ、そうさ。ダーラムシアの王族貴族は、代々魔法使い。
生まれた順番はあんまり関係なく、魔力の強い者が家を継ぐ」
サラはノアの紫の眼を覗き込む。
「大丈夫、学院には、魔法に詳しい人がいっぱいいる。
きっとあんたも、ちゃんと使えるようになる」
そう言って、サラは組み上げた小枝の束に手をかざす。
「火よ、ここへ」とつぶやくと、ぱっ、と炎が上がり、焚き火の種が出来た。
「今までやったことがないなら、学院に行くまで待って、初めからちゃんと習ったほうがいい。
大きな魔法を使うには、ちゃんと間違えなく詠唱することが必要なんだ。
自己流でへんなことやらない方がいい」
そうか、ねこさんはだから、魔法を使わせてくれなかったのか。
ひたすら魔力を流し、練るだけだった訓練を思い出してノアはうなずいた。
「うん。ちゃんと習って、父上に褒められるような息子になるよ、僕」




