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足場の悪い林の中も、歩きなれた様子でつまずきもせず、小馬たちは進む。
街道に出ることもなく、三人は辺境伯の領地の端を通り、ダーラムシアへ向かった。
もう少し南へ下れば、今まで過ごした城に火の手が上がっているのが見えたろうが、サラと名乗ったジプシーの女は、ノアに気取られぬように大回りしてやり過ごす。
ジョゼは時々姿を消して、ウサギやら山鳥やらを下げて戻る。
ハリネズミを取って来た時には、可哀相で困ったけど、粘土で固めて焚き火の燠にうずめ、蒸し焼きにした晩御飯はとてもおいしかった。
一日中小馬を走らせ、焚き火で調理したご飯を食べ、ねこさんに言われたように魔力を流す練習をして、星空を見ながら毛布にくるまって眠る。
マリアンとねこさんが一緒だったら楽しいだろうな・・・。
「僕の父上と母上にあったことはあるの?」
焚き火にあたりながら、サラに聞く。
「あんたの父上は、えらい王様。
あたしたちみたいな下っ端はそばにもよれないよ。
母上は・・・そうか。
あんたの母上は、あんたを生んですぐ、亡くなったんだ。
知らなかったのかい?」
ノアは足元がガラガラ崩れていくような気がした。
「母上は・・・亡くなったの?」
「王様の三番目のお妃で、可愛いきれいな方だったそうだよ、子供はあんただけだった。
今王様には、四番目のお妃さまがいる」
父上と・・・新しいお妃・・・。
父上は僕をまっててくださるんだよね・・・。
ダーラムシアに入ったよ、と言われたのは、三日ほどたってから。
あたりをきょろきょろ見回すが、続く林に変わった様子はない。
「ここからだんだん森が深くなって、危険になるんだ。
これからは街道を旅して、街に泊まる。都に着くまで十日はかかるよ」




