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「流産の危険!?」
帝国の騎士ジョン・ラモントは悲鳴のような声を上げた。
「ど、どうすればいいんだ」
「この年まで独身のわしが知るもんですかい」
補佐役のゴラン・パトリスが仏頂面で言った。
馬車を止めてあるのは、焼き討ちにあった村の跡。
かろうじて焼け残った納屋に病人を休めたが、村人は逃げ去っているし、井戸は汚染されている。
奥方は年配の女官さえ連れていない。
城を守って重傷を負った息子に付き添っていられるように、残してきたのだ。
侍女のティサも姫君付きのエマも、十代の少女。
助言できる者はいない。
と思って真っ青になっていたら、兵士の一人が五人の子持ちだった。
「残りはコロコロ生んだんですが、初めの子がねぇ」
かみさんが初産で一人を失くし、しばらく寝込んでいたという。
「とにかく、安静第一。動かさないこと。馬車の振動などもってのほかでさ」
このままきつい砂漠越えをしたら、母子共に危ない事だけはわかった。
頭をかかえたジョンに、斥候の一人が言った。
「東に二日、森を抜けて行けば、ダーラムシアに入ります」
ここはローランディアのはずれ。隣国ダーラムシアに一番近い所にいるのだ。
「国境を少し過ぎたところに、小さな開拓村があります。
女手が見つかるかもしれません」




