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ラモントの性格付けとジュエルの性別を追加しました。
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俺たちは捕虜として帝国に送られる。
奪回を怖れて、父上たちとは別行動をとらされて。
それぞれの馬車は、乗客の姿も見せず、行先も告げずに出発した。
窓を閉めた箱型馬車は不快に暑く、揺れが激しい。
道は舗装してないし、サスペンションもゴムタイヤもないんだからなぁ。
?。何でこんな単語と意味を知っているんだろう、俺。
おぼろな記憶が頭をよぎるが、今はそんなものに妊娠中の母上が乗せられてることが問題だ。
魔力で座席のシートの下に圧縮空気の塊を作り出して、クッションにしてみたら少しはましになったけれど、最初の休憩地についたときには、母上は真っ青になってふらふらだった。
護衛のラモントが驚いて、明日からはもっとゆっくり馬車を走らせると謝った。
騎士の体力でものを図るなよ、脳筋め!
しかしこいつが動物好きだったのはラッキーだった。
ジュエルに一目ぼれしちまったんだ、こいつ。
ティサの膝に乗ってる狸顔を見た途端、顔がとろけたんだ。
騎士のくせに。
「これは、珍しい猫だなぁ。なんて綺麗なんだ。
よしよしお嬢さん、こわくないよ。
ヤギのミルクは好きかな?」
「この子は雄ですのよ」
撫でようと手を出すラモントに、母上が声をかけると、ティサがちょっとジュエルを持ち上げる。
しっかりそれを見せられちゃった騎士。
「えっ!あっ!しっ、失礼を!」
真っ赤になって頭を引こうとした騎士は、扉の枠にがん、と頭をぶつける。
「くー・・・・っ」
「若」
後ろの騎士が苦虫を噛み潰したような顔で言った。




