7
7
後で聞いたことなのだけれど、ガタカン帝国の旗を立てた正式の使者が、交渉にやって来たのだそうだ。
使者を攻撃するのは、掟違反だ。
父上が防戦の手を止め、使者と話し合おうとしたとき、城の後方へ回り込んだ敵の魔法部隊が、全力で炎と土系の大魔法を打ち込んだらしい。
あっちこそ、とんでもない掟違反じゃないか!
魔法の国、ダーラムシアと手を組んだことをローランディアに誇示するために、帝国は辺境の父上の城を標的にした。
魔法の力で壊滅的な打撃をあたえ、王都の人々への警告にしようとしたんだ。
昔から続いてきた戦争の協定に違反すると、ローランディアは激怒したらしいが、後の祭り。
もう、その場の俺たちは大混乱だよーっ!
大きな魔法攻撃だってわかってたのは俺だけで、いきなりすごい雷みたいな音が鳴り響き、城壁がガラガラ崩れたんだもの。
女子供が泣き喚いて、もう大変な騒ぎ。
中庭に敵兵が押し寄せ、こっちにも入って来たけど、こちらは戦えない者ばかりだ。
抵抗した厨房の男たちはぼこぼこにされ、兵士たちは略奪を初めた。
食料を漁り、避難民や下女の中から若い子を攫って行く。
敵だ!敵だぞ!
ものすごく攻撃したかったけど、俺の役目は「守り」だ。
『おすわり!』
俺は周りにいる十人くらいの子供たちを片隅に集めて、「隠蔽」の魔法をかけた。
「 不可視」みたいな 大きな魔法じゃなく、魔力の消費の少ない、ちょっと見つけにくくなる、くらいの軽いやつ。
今の俺の魔力じゃこれが精いっぱいだ。
「ねこしゃん・・・」
姫さんがぎゅーっと抱きついてきた。
怖いんで幼児言葉に戻っちまってる。
大丈夫。大丈夫だよ。姫さん。
父上は、強いから。




