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姫さんとお昼寝してて、俺はぴくん、と耳を立てて目覚めた。
北の方が、騒がしい。
そーっと姫さんの腕を外して、寝台から飛び降り、上の物見へ急ぐ。
見張りの兵士たちはのんびりしたものだ。
俺は身体を乗り出して、北から吹いてくる風を吸い込んだ。
近くの匂い。遠くの匂い。もっと遠くの・・・。
人と、馬。たくさん。
そして血と汗と・・・戦闘の匂いだ。
俺がわんわん吠えて、砂埃が見えるようになって、やっと見張りが気付いた。
遅いぞっ!にぶいなぁ。
合図の角笛が吹かれ、あたりはいっぺんに騒がしくなった。
どうなるの?敵が来るの?
ねえ、どうなってるんだよぉ?
母上の所に使者が来る。
「せんりゃくてきてったい」ってのをするんだそうだ。
最後の砦を放棄して、城に立てこもる事だって、厨房の男たちが話している。
え?
父上たちが帰ってくるって事?




