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「ローランディアでは、魔法は使わないの。
怖がられるから、人に使っちゃだめよ」
母上に諭されて、姫さんはこくんとうなずいた。
だけど、子供部屋に戻って、クッションにぺたんと座ると、俺を呼ぶ。
「ねこしゃん、おて」
お手はするけど、魔力は流さないよ?
姫さんはノアとしてたみたいに、しばらく俺の手を握ってたけど、やがて、顔がくしゃくしゃになって・・・。
「えーーーーん、ノアーーーーっ!!」
わわーっ!
鳴かないで姫さんーっ!
ねえ、ボールしない?王子様ごっこは?お馬さんは?
俺は焦って姫さんの顔をぺろぺろ。
父上も姉上も兄上もいなくなっちゃって、みんな戦の予感にピリピリしてて、とうとうノアまで消えちまったんだもんな。
俺だって寂しいんだからさあ。
『うぉーん』
姫さん、ぴたりと鳴き止んだ。
「おーん」
舌っ足らずに繰り返す。
ちょっと違うな。
『うおーん』
「おーん」
もっと喉をそらせて。
『うおーん』
「おーん」
『うおーん』
「おーん」
『うおーーーーんおんおん』
「おーーんおんおん」
ベスが淑女らしくない遊びをするなって、俺たちを叱ったけれど。
姫さんがべそべそ鳴くよりいいじゃないか。




