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転生前の記憶は、もうほとんど消えてしまった。
どんな姿だったかも、もう覚えていないけれど。
人間が見上げなければならないほど、大きな身体だったはず。
その分、魔力も膨大だった。
魔素の流れが少ないここでは、魔力が溜まらず、力を出せない。
魔素の流れが多い場所に行き、魔素の多いものを食べ、魔力を蓄積していかないと。
最悪、ノアを喰っちまうって手もあるけれど、友達だし、姫さんが鳴くだろうからなぁ。
ノアの故郷のダーラムシアには、魔物が出る。
そっちへ行けば、たぶん・・・。
だけど。
この身体がじゃまをするんだ。
この、俺が融合した犬って種族の核は。
もう、守護と防衛の本能が、めっちゃ強いんだよ。
姫さんと城から離れるって考えた途端。
ハートがぎゅーっと縮まって、不安でたまらなくなっちまう。
大きくなりたい。強くなりたい。
でも、ここから離れられない。
もう、本能に従って、このままずっと、姫さんのそばに。
そうも思っていたんだけれど。




