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北に上がった、狼煙。
城に一番近い、三番目の砦が、襲撃を受けたって合図だ。
城は大騒ぎになった。
手伝おうと走り回った俺はあっちで蹴飛ばされそうになり、こっちで踏まれそうになり。
最後にはトマスが俺につまづいて、豆の袋を盛大にぶちまけちまったもんだから、這う這うの体で逃げ出すしかなかった。
まったく。
城のみんなを手伝いたいのに。
みんなと一緒に、戦えない。
俺は小さい。話せない。役に立たない。
そして母上のおめでたで、はっきり気づいちまった事がある。
・・・俺が転生したこの犬って種族は、とても寿命が短いって事。
母はこの一年で、ずいぶん老けた。
犬舎の長は、もう繁殖には使わずに、母を引退させると言った。
俺が最後の子供だったんだ。
母上は、母の三倍くらい生きてるけど、まだまだ子供をつくれる身体だ。
俺は生まれて一年半。
そろそろ成長の限界だ。
これからもっと強く逞しくはなるだろうが、骨格の大きさは決定されてしまう。
これ以上成長を続けるには、魔力にたよるしかなくなるんだ。
だけど、ここでは、魔力がたりない。




