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「♪野原にいるのは一羽のひばり♬」
誰でも知ってる数え歌だ。
「ピルルルッルルー」
おお、口笛もうまいもんだ、トマス。
「♪納屋にいるのは二匹の猫♬」
「にゃお、にゃーおー」姫さんが答える。
「♪暖炉の前には三匹の犬♬」
姫さん、眼をきらきらさせてこっち見るなよ、しょうがないなぁ。
『わん、わん、わおん!』
トマスの眼がまん丸くなった。
牧場の十匹の羊まで歌い終えて、姫さんはすっかりご機嫌。
トマスはぽろんぽろんとリュートを鳴らし、ノアに尋ねた。
「何かお好みは?ノア王子様」
「ダーラムシアの、曲を知ってる?」
トマスはにっこり、うなずいた。
「ローランディアの童謡でも、ダーラムシアの恋歌でも。
ガタカン帝国の小唄でも、お求めに応じるのが、私の務め」
そして、静かに歌い出したのは。
「♪紫の眼は、魔法の印♬」
紫色の眼をした若い魔法使いと、金髪の羊飼いの少女の、恋物語だった。




