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家畜を追いかけて遊ぶんじゃありません、と、フランツたちはだいぶお説教をくらっていた。
(追っかけられたのはあっちだけどね)
これで当分、奴らは中庭に近づかないだろう。
秋の収穫祭に、あのジプシーたちが現れるかと思ったけれど、城に来たのは吟遊詩人の一団だけ。
冬に備えていろんなものが運び込まれる季節になった。
新物の葡萄酒や、林檎酒。麦と秋物野菜。林のどんぐりを食べて太った豚。
狩りに出た騎士たちが持ち帰る、猪。鹿。野鳥の類。
初めて熊を見た俺は、毛を逆立てて飛びついちまった。
初めて会った、格上の獣。
そう、これこそが俺様のえものだっ!
べしいっ!
ひゃい・・・しゅみましぇん・・・。
他人が狩って来た獲物に手を出すんじゃないって、母から教育的指導がとんで来た。
でもでもっ。興奮するよおっ!
食糧庫はいっぱい、厨房は大忙し。
そして、こいつらも増えた。
ノアと遊んでいた姫さんが、小さな悲鳴をあげる。
部屋の隅を走る、黒い影。
『俺に任せろっ!』
姫さんを怖がらせる奴は許さんっ!
飛びついて首筋を咥え、一瞬で脊椎を砕く。
初めての、殺し。
俺の最初の獲物だ。
ぽすん!がちゃん!
わ。姫さん、もうやっつけたから!俺に物を投げないでっ!
小姓のトマスが走って来たから、意気揚々と獲物を見せたら。
いきなりがしっと抱きかかえられ。
え?どこへ連れてくの?
わっ!ぶっ!
石鹸で口を洗うなーっ!
あー、びっくりした。
ってか、おい、ジュエル!
おまえ猫だろ!ドブネズミくらい捕れよっ!
・・・それでもって、ノア。
お前、不発の魔弾を撃ったぞ。
ドブネズミを捕った犬をひっつかんで、石鹸で口を洗ってしまったのは作者です。
柴の雑種だったけど、モグラも捕った・・・お前、前世は猫か・・・。




