第三章 成長 1
1
秋の収穫祭の頃には、俺は母より一回り大きくなった。
まだ関節は緩くって、ひょろっとした感じに見えるけど、金色の毛はふかふかで、胸元の毛は真っ白だ。
冬毛に変わる頃にはもっと筋肉がついて堂々としてくるだろう。
だから、ねぇ、ごはんのおかわりっ!
ノアの過剰な魔力をもらって、魔力不足も一息ついたし。
魔力をちゃんと流せるようになって、体力も付き、眼も良く見えるようになったノアは、どんどん勉強が出来るようになった。
今まで出来なかった分を全部取り返したいというように、文法も歴史も地理も数学も、たった数カ月で姫さんを軽く追い越して、祭りの頃には、四つも年上のフランツに追いついちまった。
やばい事に、フランツの妬みも買っちまったよ。
あいつ、怠け者のくせに、プライドだけは高いんだから。
勉強で負けた腹いせに、父上の見ていない処で、二、三人の仲間とつるんで、魔法使い退治だとノアを追いかけ回すんだ。
だけど、元気になったノアはとてもすばしこい。
今日もほら。
『おーい、ノア、こっちっ!』
俺が吠えると、中庭に走り込んだノアが、こっちへ向かって逃げてきた。
後ろから追いかけてきたのは、フランツと腰ぎんちゃく二人。
ノアが俺の横をすり抜ける。
『よーし、いいぞっ。行けーっ!』
迎え撃つのは俺と・・・アヒル軍団ーっ!
大きくなった六羽のアヒルが、グワッグワッとフランツたちにとびかかる。
たかがアヒルだけど、相手はまだ十二歳の男の子、すねをつつくくちばしは強烈だぞっ!
べそをかいて逃げ出した三人と追いかけるアヒルをうまく誘導して囲い込むと、俺は子供たちの膝の後ろに体当たりする。
転んだ先は・・・馬糞の山ーっ!
ふっ、片付いたぜっ。
そろそろお茶の時間じゃない?
行こうよノア。
遅れたりすると、礼儀作法を守れない子だって、母上のクッキーをもらえないからねぇ。
古い映画で、男の子を追いかけ回してつっつく白いガチョウのサマンサというペットがいるんです。
鳥なのにすごい名演技。




