20
20
「こんどこそ、子供の知恵熱でしょうかね」
侍医は原因不明と診断したんだ。
(あいつ、ヤブだから)
「高熱で失明したという話は聞くが、眼の色が変わったなど聞いたことがない」
「でも、ますます綺麗な子になりましたわ」
母上は嬉しそうだ。
「体の調子も良いらしい。このまま様子を見るとするか」
ローランディアの人々は魔力に疎いから、なにが起ったか気が付かない。
調子が良いどころじゃない。
あの塊が解けたら魔力がうまく流れるようになって、ノアは頭の中の霧が晴れたと、すごく喜んだんだ。
あたりがはっきりと見えるって。
やっぱり、誰かが、ノアの魔力を拘束していたらしい。
眼がよく見えるようになって、マリアンは思ったとおりかわいい子だって、母上の庭はあざやかな花でいっぱいだって、ノアは嬉しそうに笑う。
俺もきれいな犬だって、さんざん頭を撫でてくれるから、こっちもうれしくなって、はっはっと舌を出して、にへらーと笑っちゃったよ。
けっこうこんがらがった複雑な結び目だったからな。
それを見事に解いた、俺って、天才。
力任せに壊しただけだろうって?
えーとぉ・・・あはは。
塊に滞ってた多量の魔力は、俺が美味しく喰っちまったし、ノアは適量の魔力になって体調が良くなったし、良いこと尽くめさ。
でも、気をつけろよ、ノア。
この国じゃ、魔力持ちは不審な眼で見られるらしいぞ。
動物でも、人間でも。




