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「ねこしゃんもおいで」
呼ばれてあわてて姫さんを追いかけた。
流れる民は魔法を使うのか。あの女の魔力。
魔術を使い慣れてる奴だ。
翌日。
みんなでまた水遊び場に行ったけど、フランツと男の子たちが水の中で派手に騎馬戦を始めちまった。
騒がしいので、姫さんはノアをお供に少し離れて、退屈そうに浅場でちゃぷちゃぷやってるだけ。
そこへすーっと小さな笹船が流れてきた。
「おふね!」
姫さんは取り上げて、うれしそう。
もう一つ。
今度はノアがつかまえた。
「あっちから流れてきたね」
振り返ると、女官のベスが暑い日差しに立ちくらんだのか、ふらっとして、護衛の女騎士があわてて手をさし出して、土手の上へ登っていくところ。
頭を戻すと、あれ?姫さん?
姫さんとノアが、手を繋いですたすた上流へ歩いて行っちまう。
『おい、待てよっ!』
お付きを置いて行っちゃだめじゃないか!
わんわん吠えたけれど、みんな騎馬戦の騒ぎに気を取られて気が付かない。
戻って知らせてたら姫さんを見失っちまう。
俺は急いで二人の後を追った。