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みんなできゃあきゃあ遊んでたら、父上から声がかかった。
「さあ、みんな。冷えないうちにそろそろ上がるぞ。
水から上がったら、乾いた服に着替えて、温かい飲み物をもらう事。
髪を濡らしたままにしたり、濡れた服を長く来ていたりしてはいかん」
子供たちを監視していた騎士たちが、みんなを水から追い出した。
姫さんはまだ遊ぶってぐずったあげく、騎士の一人に抱き上げられて。
河原に戻る途中、川の方を見て指さした。
「おふね!」
小さな笹船が、上流から流れて来る。
みんなが遊んだ淀みでくるりと回り、そのまますーっと下流へ流れていった。
訓練中の兵士たちは、近くでキャンプ。
俺たちは渓谷のすぐ近くにある荘園で、二泊三日のお泊りだ。
マーガレットとフランツは毎年避暑に来てるけど、姫さんはよそでお泊りは初めて。
俺とノアを連れて、あっちこっちを駆け回る。
おいおい、あんまりはしゃぐとまた夜鳴きしちまうぞ。
父上の配下の館だけれど安全な城の外だから、子供たちにはそれぞれに、女官と護衛の騎士のつかず離れずの警護付きだ。
せっかく避暑に来たのにあちこち引っ張り回されて、ベスは優雅に涼んでいるマーガレットと母上の女官たちをうらやましそうに見てる。
ここは新鮮な野菜や果物を城に供給してる所で、今は収穫前の葡萄畑の世話が主。
もう少しすると、収穫とワインの仕込みで出稼ぎの人たちが来て、にぎやかになるんだって。
「夕餉にはお楽しみを準備いたしましたよ」
人の良さそうな主人夫妻が、にこにこと父上たちをもてなす。
「毎年収穫期にやってくるジプシーが今年は少し早く着きましてな。
食事時には歌と踊りを披露させましょう」




