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やばいやばい。
ここでは、人間が魔力を使えば魔導師だけど、動物が魔力を使えば魔物ってなってしまうのか。
魔物なんて、討伐の対象じゃないか。
俺が魔力を使えることは、しっかり隠しておかないと。
あれからノアは、ときどき一人でボーっとしていることがある。
うん、自分の中の魔力を探っているんだろうけど。
ぜんぜんうまくいってないよ。
まだるっこしいなぁ。
俺が苦手な奥庭の薔薇も盛りを過ぎて、日に日に陽射しが強くなる。
中庭で追いかけっこをするより、涼しい場所に穴を掘って、おなかをべったり土につけて冷やしたい季節になった。
でも、それすると、後で部屋に入る時泥だらけだって叱られるんだよ。
暑さが激しくなったある日。
父上が、「明日はみんなで川へ行こう」って言ったんで、フランツと姫さんは歓声を上げた。
「お水遊びするんだよ、ノア。ばしゃばしゃって」
「水泳の練習だよ、ノア」
父上は初めてのノアに説明する。
この近くには大きな川はないんで、泳げる人は少ないんだって。
でも、父上は、将来何があるかわからないと、兵士たちに泳ぎを覚えさせる。
そして、自分の家族にも。
護衛の騎士たちを連れて、きれいな渓谷のある荘園に行き、川の深い処で泳ぎの練習をするんだ。
兵士たちは、武器を持ったまま泳げるように。
子供たちは、とにかく浮いていられるように。
母上とマーガレットは女性の騎士たちの何人かと、きちんと整備された水浴び場に行くんだけど、姫さんは子供組のほう。
フランツやノア、城に住む男女の子供たちと一緒に、きゃあきゃあ言って水遊び。
俺もそっちで騒いでたら、父上につかまって。
「犬は生まれつき泳げるんだ」って、いきなり深みに投げ込まれた。
「さあみんな、犬かきのお手本を、よく見ておおき」だって。
あわてて水をばしゃばしゃやったら、うん、確かに、水から顔出して泳げたけど。
いきなり人の事投げるなって。
子供たちの何人かが、俺の真似して泳ぎ出して。
しばらくしたら、何人も、犬かきで泳げるようになったんだけどね。
人間は首を上げてないといけないから、大変だ。




