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久しぶりに中庭で、母に会ったら。
びっくり、眼の高さが同じだよ。
俺、でかくなったでしょ、母。
うれしくて、しっぽをぶんぶん、足をバタバタさせたけど、母は冷静に一度挨拶してくれただけで。
うーん、欲求不満だよぉ。
なんか、なんか、これを発散させられないか。
おおっ、あの動物は何?
俺よりでっかいけど馬ほどじゃなくて、五、六頭まとまってうろうろしてるのは。
調べに行こうとしたら、ぱっと母に道を塞がれた。
じゃまだっ、とよけようとしたら、ぱっとそっちへ。
反対に抜けようとしても、さっとそっちへ。
灰色の毛むくじゃらたちを調べたいのに、絶対近寄らせてくれない。
右へ左へ走り込んで、ぐるぐるしてたら、なぜか俺は納屋の壁際に押し付けられる羽目になってた。
何で?
姫さんを抱き、ノアと見ていた父上が、笑い出した。
「ラス、羊じゃなくてねこさんの方を囲い込んだか」
羊?
そうか、この匂いは、あのおいしいローストになる奴だ。
「ラスは羊追いのベテランだからな。
ねこさんではとてもかなわないぞ」
「ねこしゃんだって、できるもん」
姫さんは不服そうだ。
「綺麗な犬ですね」とノア。
「ねこさんの母犬だよ」
父上が俺と母を呼び、一緒に並べて撫でてくれた。
同じ大きさになった、黒毛に白い星の母と、金毛に白い星の俺。
二頭並ぶと、かっこいいだろ?
ドッグランで一緒に遊んでいた二歳のボーダーコリーは、教えられていないのに、他の犬を見事に囲い込んでいました。
本能って、すごい。




