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最強の獣のまったりライフ   作者: 葉月秋子


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 母上はノアが気に入ったみたいだ。

 

 マーガレットは背伸びして生意気、フランツは乱暴なガキ大将、俺のマリアンは気が強くわがまま。

 おとなしく言うことを聞く子供って珍しかったらしい。

 金髪で大柄な人間が多いこの国で、黒目黒髪の弱々しい少年に保護本能を掻き立てられたってこともある。


 初めは人見知りしていた姫さんだけど、ノアがおとなしく逆らわない子だとわかると、さっそくお人形遊びに引きずり込んだ。


 でも、なんで俺が王子で、ノアが悪者の竜の役なんだ?


 ノアは姫さんをさらって、クッションの山の洞窟に閉じこもる。

「ねこしゃん、たすけてーっ!」

 俺は姫さんの気に入りの人形を背中に乗せて、ノアにとびかかる。

 ノアとゴロゴロ取っ組み合ってると、姫さんは人形を抱っこして、「王子様!」って・・・え?


 俺、王子じゃなくて馬の役?


 「騎士と竜と姫君」ごっこは難しい。

 ノアも俺もまごついて、「ちがうのー!」とか「そうじゃなーい!」とか、さんざん言われて困ったけれど、最後に二人で喧嘩ごっこをするのは楽しいぞ。

 俺がものすごい唸り声を上げるんでエマが震えあがったけれど。

『ブルートに追いかけられてから、あいつ犬が怖くなっちまったんだ』

 大丈夫。遊びだよ。噛んだりしないよ。

 ノアの服が破れちゃったのは、えーっと、はずみで・・・。

 あいつ、上着をマントみたいに翻して、挑発するのがうまいんだもの。


 今までトマスが悪役してたけど、あいつ、とろくて下手だったんだ。

 ノアは本気で役にのめり込むから、上手い。



 母上に乱暴なことをするなって言われたけれど、ノアが、「楽しいからやらせて」って言った。

 転げまわって一緒に遊ぶなんて、今までしたことがなかったんだって。


「あなたは丈夫ではないから、気を付けるんですよ」


 たしかに、ノアはよく熱を出した。

 子供たちの侍医に見せても、「虚弱なお子ですな」と言われるだけ。


 おい。

 ほんとにそれだけだと思うのか?

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