第二章 魔力が足りない 1
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「人質?あんな小さな子が?」
「三年前の戦のあと、ダーラムシアから送られてきた王族だ。
継承権も低いし、あまり役に立たぬとほっておかれたらしい。
王のお子達はみな成人しておられるし、友人もなく王宮の片隅にポツンといるのが哀れでな。
子供同士で暮らすのが良かろうと、預かって来たのだよ」
「マリアンより三つ上ですか?弱々しい寂しそうな子ですこと」
「よく熱を出すようだが、大きな病はしたことがないという。
静かな優しい子だそうだ。そなたにめいわくをかけてすまんな」
「見ていられなかったのね。あなたらしいこと。
子供の一人くらい、大丈夫ですよ。
子供部屋でマリアンと一緒に勉強させればよろしいわ」
ノアという子供が仲間になった。
フランツより年下、マリアンより上。
お茶の時間にみんなに引き合わされたけど。
「ダーラムシア人ですって?」
ふん、と鼻をならすマーガレット。
「もやしっ子だな」
眼をすがめるフランツ。
「・・・・・・」
母上のスカートに隠れるマリアン。
なんだか先が思いやられるな。
仲良くしろって父上が言ったろ。
『まあ、たしかにやせたひょろひょろの子だけどね』
俺はとことこ近づいて、ふんふんと匂いを嗅いでやった。
うん。
やっぱり。
魔力を感じるよ。この子。
俺が仲良くしてやるよって、しっぽをぱたぱた振ってみると、小さな手がおずおずと俺の頭をなでた。
『ほら、姫さんもこっちへ来いよ。
こいつ、噛みついたりしないからさ』




