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最強の獣のまったりライフ   作者: 葉月秋子
199/225


 ぎろりと男を睨むギルド長。


 それにかまわず、買取カウンターの女性職員が声をかける。


「さあ、マリアン、やっと正規に依頼も買取も出来るようになったわ。

 掲示板にある常時依頼の品、持っているんでしょう?」


 はい、と少女は、腰の収集箱に手を伸ばす。


「銀嶺草に、血止め苔。ポシャ魔草に、レン上魔草・・・」


 古びた収集箱はマジックアイテムらしく、カウンターに結構な量の植物がきちんと並べられていく。


「凄いわ、これだけの種類をこんなに。

 見習い時代の薬草も含めると、十二分にEランクのノルマ達成よ。

 Dランクに昇格!おめでとう!

 プレートを貸して。上書きするわ」

 


 ガタン、と椅子を倒して、酒場のひげ面が立ちあがった。


「草数本の採取でDランクだとォ?

 ごまかしをやってやがるのかこのギルドは!」


 周囲の人々が、はっと息を呑んだ。

 同じテーブルについていた仲間らしい二人の男が、奥の机に戻ったギルド長をちら見しながら、ひげ面をおさえようと袖を引く。

 長の眼の前で、ギルドに喧嘩を吹っ掛けるなど、阿呆にもほどがある。

 

 受けつけの女性はピリピリと額に青筋をたて・・・それでも丁寧に説明する。


「これは見習い時代からの実績の積み重ねよ。

 彼女は優秀な採取人なの。

 戦が続いて薬品の供給が追い付かないこの時に、毎回一定量の薬草類をきちんと納めてくれることがどんなに有難い事か!」


 Dランクのあんたたちが、常時依頼をちゃんと消化しないから、彼女が冒険者登録できる日を待ちわびていたのよ、とにらみを利かせる。


 ポシャ魔草にレン上魔草。

 魔素の多い地に生える魔草の類は、人里近くでは育たず、森の奥まで踏み込まねば採取できない。

 初心者のEランク風情が集められるものではない、Dランク、Cランクに依頼する品である。


 しかし、ギルド未登録者には採取依頼が出せないので、マリアンの実力を知るギルドの職員たちは、彼女が十二歳になるのを首を長くして待っていたのだった。



 


 

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