第三部 第一章 マリアン 冒険者ギルド 1
第一章 マリアン 冒険者ギルド 1
ダーラムシアの片田舎、レッドレイクから王都へ向かう街道を途中北にそれると、少し標高が高くなり、森と草地が混在する台地が連なっている。その北側は、大森林と山脈で塞がれている。
そのスターカム台地にあるダンスクの街は、魔物が出没し素材が採れる大森林とも適度に近く、王都の貴族たちの別荘があるため適度に栄えて治安もいいという、立地の良い場所だった。
そのダンスクの、冒険者ギルド。
武骨な手が、ギルド証のプレートを差し出す。
「おめでとう。マリアン。
今日からEランク冒険者の仲間入りだ」
後ろの受付嬢となじみの冒険者たちから拍手が起こった。
「ありがとうございます」
答えて受け取ったのは、ほっそりとした少女。
ギルド証をもらえたという事は、十二歳を過ぎたという事。
くすんだ金髪を一つにまとめ、丈夫そうな布の服に革の胸当て。
軽い弓矢と短剣のみの軽装だ。
「あん?ひよっこのガキ一匹の加入に、ギルド長じきじきのお出ましか?」
ペットあつかいかよ、ケッ!と、併設の酒場でエールのジョッキを傾けていた、新参者のひげ面が嘲った。