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酒の入った男たちが、レスリーの背中の大剣を見せろだの、手合わせをしろだの言い始めて。
魔獣相手の自己流の剣術だからと断るレスリーを困らせる。
そしてだんだん「冒険者風情が」とか「生意気な女が」とかいう雰囲気になり始めて。
王子が声を上げようとする直前を見切ったように、レスリーが答えた。
「では、代表の御一方と」と。
男たちを叱ろうとした王子も、ぱっと顔を輝かせて。
うん、やっぱりこういうの、好きな子なんだよなぁ。
バタバタと納屋の真ん中に場所が作られ、お付きの一人が杖を上げ、一言言うと、天井のあたりにいくつも灯りの玉が現れた。
あ、こいつ、軍の魔導師か。
簡単な術式の便利な魔法だな。今度姫さんに教えておこうっと。
レスリーが立ち上がると、みんなちょっと怯んだ。
ふふ、座って話してたから、レスリーがでかいの、忘れてたろ?
均整の取れた身体は、並みの騎士より頭一つ高い。
男たちが気にする、胸もでかい。
額の布で押さえた奔放な金髪、目元の異国風の刺青。
『威圧』も放ってないのに、ちょっと不機嫌で荒っぽい冒険者モードを全開にしたレスリーは、その存在感は、半端じゃなかった。
うん。これが、吟遊詩人が惚れ込んだっていうフィアレス・リーか。
たしかに、いい絵になるな。