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最強の獣のまったりライフ   作者: 葉月秋子
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 百頭切りなんて、詩人の作り話だとはっきりとことわって、静かにしゃべり始めたレスリーの声は低く吶々としていて、ケインは全く無言。

 それでも、言葉の端々から、冒険者の厳しい生活や、魔獣の恐ろしさが伝わってくる。


 ど派手な武勇伝のサガじゃなくて、お付きたちはがっかりしたようだけど、王子も姫さんも、夢中になって聞き惚れた。


 やがて、王子はため息をつく。


「なるほど。

 魔獣とは恐ろしいものなのだな。定期的に間引かぬと、氾濫(スタンピート)が起こるのか。

 この戦で冒険者の多くが傭兵として軍に参加している。

 東のダンジョンの多くが、手薄になっているようだ」


「王都のギルドもそれを懸念して、私たちを呼びつけたのだと思います」


「残念だ。ギルドの呼び出しさえなければ、私がそなたたちを雇えたものを」


「私たちは、人間相手の戦いはしません」


「そうだった。人を害する魔獣のみを狩る、ハンター。

 それが、そなたたちだ。うん。」


 しかし、あんまり王子が夢中になるもんだから、お付きたちが嫌な雰囲気になって来た。




「そして、マリアンと言うのだな。そなたも弓使いとしてパーティーに入っているのか。

 その若さで凄いな、うらやましいぞ」

「いえ、私は」と、否定しかけた姫さんを遮って。

「この子はまだ未成年、冒険者登録は出来ないのです」

 と、レスリーが当たらず触らずの返事をする。


「しかし、みごと野盗の一人を仕留めたというではないか」

 軍人の一人が言った。


「私は怪我を負わせただけ、倒したのはベンさんとこの子です」


「なんと、この犬が!」「凄いな」

「ほう。芸をするだけの道化ではなかったのか」


 あ、やな言い方。


 俺はその神経質そうな軍人に向かって、くわぁ、とあくびを一つしてやった。


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