7
7
「野盗が農場を襲っている。
目視では十人、うち三人が弓で武装」
「生存者は?」
「燃える母屋の中に数人閉じこもっているようだ。
火をかけて飛び出したところを弓で狙おうという算段だろう」
「生きてるのか?じゃ、急いで」
と、飛び出そうとしたカイトの馬を、ケインが前を塞いで止める。
鞍の上から手を伸ばして、べしっ!と器用に頭をひっぱたいた。
「どうしたい?ベン」
レスリーがベンを振り返る。
そう、二人はベンの護衛だ。勝手に動くわけにいかない。
相手は十人もいるんだ。見捨てて逃げるのが正解だろう。
だが、ベンはちょっとためらってから、言った。
「助けてやれるか、レス。
シシィたちは十年来の付き合いだ。
見殺しにしたくない」
「わかった」
答えた後は、レスリーは素早かった。
馬車を木立に引き込み、カイトを守りに残し、馬首を返す。
犬を吠えさせるな、とマリアンに命じてから、続ける。
「前の言葉は撤回だ。人を殺させたくはない。
だが、やる時は、ためらうな」
合図して、ケインと二人、あっという間に駆け去っていった。
カイトがほれぼれしたようにため息をついた。
うん、ちょっとかっこいいなぁ。