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レスリーがため息交じりに言った。
「これの事は気にするな。
冒険にあこがれて家を飛び出した、知人の息子だ。
見つけ出して、家に連れ戻す途中なんだ」
「だから、それはないでしょう、レスリーさん。
何度言わせるんです!
自分の将来くらい自分で決めるんだ!」
「それはご両親に言うんだな。魔道学院を勝手に抜け出して、心配をかけて」
「学院長がかわってから、あそこはもうだめですよ。
今は戦闘用の魔法使いの養成校になり果てている。
少し魔法を使える子供を見つけ出しては、消耗品の兵士を作り出しているだけなんだ」
そんなものにはなりたくない、自由な冒険者になるのだと、カイトは薄い胸を張る。
ちょっと、ミックに似てるなぁ。
マリアンは思った。
酒場を継ぐのは嫌だっていつも言ってた、遊び友達。
ちゃんとお別れも出来なかったと、ねこさんを抱きながら寂しく思い出すのだった。