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それでも・・・
ねこさんの頭をなでながら、マリアンは思う。
「冒険者」なら自由にどこへでも行くことが出来て、しっかりお金を貯めることが出来るのだ。
家に帰りたいのなら、ダーラムシアの人間になってはいけない。
「嬢ちゃんは成人前なんだから。今すぐ決めることはない。
レッドレイクの街には小さいけれどギルド支部があるから、実物をよく見て将来を考えるんだね」
「ダンジョンに潜るだけが冒険者じゃない。
ギルドで紹介する街の中や郊外からの依頼を受けて、堅実に暮らしている冒険者たちも多いんだ。
読み書き計算がしっかり身についていれば、ギルド職員になることだって出来る」
「しっかし、そんなのじゃビンボー暮らしから抜け出せないぜ」
ベンとレスリーがマリアンのためにいろいろ考えてくれているのに、三人目の冒険者カイトが邪魔をする。
「冒険者になったら、こう、剣で魔獣をぶった切るとか、魔法でゴブリン集団を一網打尽とか、やってみたいだろ。そしてがばがば魔石を稼いで、街で豪遊するのさ」
ぺしっ!とケリーが若者の頭をひっぱたく。
「だから、そういう高望みする奴らは、長生きしないって話をしてるんだ」