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最強の獣のまったりライフ   作者: 葉月秋子
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 ふうーん、そういう奴か。


 酔払いの歌うだみ声がうるさくなって来たんで、俺は毛玉を解いて床に散らした。


 まったく、歯の浮くようなモリモリのノリノリのサガだった。

 あの武勇伝の半分・・・いや、十分の一・・・いや、一滴でも真実が含まれているならば、あの女は結構な使い手のはずだ。

 姫さんの護衛にしてやっても、まあ、いいだろう。


 俺はあくびを一つして、姫さんの寝床の横に丸くなった。



 しかし、魔獣かぁ。旨そうだなぁ。

 百頭分の魔素を喰ったら、俺もだいぶ強くなれそうだけどな。

 話の舞台の魔の森は、東の果て。

 しばらくは行く機会もないだろう。

 


 爺さんが作ってくれた道具、婆さんが作ってくれた服、狩人たちがそろえてくれた武器。

 姫さんはずいぶん遅くまで、明かりをともして仕分けをしてた。



 そして、次の朝。


 大きな荷物と弓矢を背負い、婆さんの種麹の甕を抱えた姫さんは、小屋の扉を閉じ、閂をかける。

 仕来り通り、口と胸に触れた手を扉にあてて、五年以上も暮らした小屋に別れを告げた。


「長い事私を守ってくれて、ありがとう」


 

 残していくものは、村のみんなに分けてもらう。

 また故郷から遠ざかるけど、必ず戻って来て父上や母上を探そうね。

 俺様といっしょなら、どこへ行っても大丈夫さぁ。


「行こう、ねこさん」


 俺の頭に手を置くと、姫さんは振り返ることなく、村に向かって丘を降りていった。

 


 



 


 

 

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