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ざわ、と男たちが緊張した。
万一に備えて収穫物の一部を隠しておくのは、どこでもよくやることだが。
本当は、収穫量のごまかしや、隠し畑は、処罰の対象。
役人に見つかれば、厄介なことになる。
「もう、そんなこと気にしている時じゃない」
ベンさんがあわてて言った。
「いますぐ、出来ることはしておかんと。
この人たちなら大丈夫じゃ。
レスリーは長年付き合いがある冒険者。
村の不利になるようなことを他言することはない」
「レスリー?」
若い衆から声が上がった。
「魔獣ハンター?」
「鋼鉄のレスリーと殺し屋ケイン?」
「フィアレス・リーか!」
「ハートレス・リーだ!」
「A級冒険者!」
あー・・・、と、女は片手で額をおさえてため息をついた。
「あの歌、こんなとこまで聞こえてるのか・・・」
押し寄せる若い衆に、げっそりして連れの男が言った。