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女の子一人で街へ出るなんてとんでもないと、反対されるかと思ったけれど。
「どうして街へ出たいんだね、嬢ちゃんは」
と、ベンさんはちゃんとたずねてくれた。
働きながら教会がやってる学校で教育を受けて、十二歳になったら冒険者ギルドに登録したい。
と、姫さんははっきりと答える。
一通り家事は出来るし、狩人としてもやっていける、と。
「あたし、小さなころ家族とはぐれて、おじいさんとおばあさんに出会って育ててもらったんです」
戦に巻き込まれて、今は生死もわからないけれど。
「だから戦争が終わったら、家族を探しに戻りたい。
そのために、自由に動けるようにしておきたいの」
話し終えると、ベンさんの後ろから声をかける者がいた。
しっとりと柔らかなハスキーボイス。
「凄いね、小さいのに、しっかり考えてるじゃないか」
金髪の背の高い女の人だ。
額に濃い色の布を巻き、目元に風変わりな刺青をさし、背中に大きな剣を背負った。
「護衛対象が一人増えても、こちらはかまわないよ、ね、ケイン」
聞かれた相手が、「ああ」と簡潔に答える。
こっちも腰に大きな剣を吊ってる、大柄な男。
ただの村人とは雰囲気が違う、二人。
護衛だって?こいつら、用心棒か?