162/225
19
19
・・・ごとごとごと・・・
馬車が進む。
・・・ごとごとごと・・・
「・・・・・・」
「・・・ノア王子?」
「・・・・・・」
「ノア、目が覚めた?」
「・・・ダ・・・リル・・・」
「よかった。
ちょっと薬が効きすぎて、やばい事になりかけたんだ。
もう、大丈夫だから、ゆっくり休んで」
「・・・ここ・・・は・・・」
「ラダスターン学院長の指示で、安全な所に向かってる」
「・・・?・・・」
「学院に居たら、命が危ないって、ステットランの目の届かない処でかくまってもらえる事になった」
「・・・・・・」
「俺も、一緒に行くから」
じゃ、もうあそこへ戻らなくていいのか・・・
ほっとしたノアは、眠気に負けて、また夢の中に漂っていく。
すごく懐かしい夢を見ていた。
・・・強く・・・ならなきゃ・・・
周りに振り回されるのじゃなく、自分の足でしっかり立って、行先を決められるようにならなきゃ・・・
大きくなって、強くなって・・・
・・・大事な人を守れるように・・・
ごとごとごと・・・
馬車は学院を、首都を離れて、ダーラムシアの東へと向かっていく。