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「くそっ!大失敗だ!」
「ノーラン」
「父上とポルターク伯爵の期待を裏切った!
どう謝罪すればいいんだ・・・」
「ノーラン!」
「僕たちも謹慎三か月だぞ。
成績に大きな汚点がついてしまった」
「・・・・・・」
「北寮のやつら、小躍りしているだろうな。
誰が新任の学院長に推されるかわからないが、これからはステットラン派が学院を牛耳るぞ。やっぱりエリー・ラムシスを懐柔したほうが良かったんだよ」
「ノーラン!話を聞け!」
「ん、なんだよ、ダリル」
「俺は学院をやめる」
「はぁ?なんだって?」
「大人たちの計画に巻き込まれて振り回されるのはもうごめんだ。
わからないのか?
何もわかってない子供に大きな責任を押し付けて、つぶしたんだぞ、俺たちは!
俺たちがノアを死なせたようなもんだ!」
「だって、ノーラン・・・」
「おとなしいからって、言う事を聞くからって、いい気になってたろ!
俺たち、ちゃんとノアを見てやってたか!」
「王族の一人なんだ。権力争いのただなかにいるのは当たり前だろう!」
「ずっと他国で暮らしてた子にそんな事情がわかるかよ!」
「・・・・・・」
「特殊な事情で育って、魔法もうまく使えない子を、王子だからって、無理やり担ぎ出そうとしたんだ。そんな無茶をさせた大人も、従った俺たちも、最低だよ」
「・・・・・・」
「逃げるなよ。俺たちの、せいだろ」
「・・・本当に・・・やめるのか?」
「このままポルターク伯なんかに仕えられるか。
俺は三男坊で魔法も苦手だ。
こんな学院飛び出して、好き勝手に生きたって、いいんじゃね?」
「・・・・・・」
「お前は真面目すぎんだよ、ノーラン。
いつだって、親の期待に答えなきゃって、必死だろ。
息抜かないと、おまえまで潰れるぞ。
じゃ、な」