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と、その時。
とんでもなく脳天気な声が、ノアの頭に響いた。
「あっれー!ノアじゃん!
やっほー!元気してた?」
懐かしい、懐かしいその声。
「ね・・・ねこさん!ねこさんっ!」
目には見えないけれど、何かがそばに来る気配。
「ひっさしぶりー、こんな所でなにしてるんだよ、ノア」
「こんな所・・・って、ここ・・・ここはどこなの、ねこさん」
「ここは『忘却の河』の岸だよ。
死者たちはここの砂に思い出を捨てて、あの河を越えていくんだ」
死者・・・
「君は死んじゃったの!?ねこさん!」
「うんにゃ、俺は知り合いを見送りに来てたんだ。
そっちもまだ現世と繋がってるみたいだな、なんだか危なっかしいけど」
なんか・・・
「なんか、ねこさんが、凄く大きく感じる・・・」
「そっちは相変わらずちっちぇえなあ。
別れてからどれぐらいたってる?」
「別れてから?一年もたったよ」
「あっはぁ、随分時がずれてるな。
この場所はすべての時空間に通じているから。
過去と未来が、交差したりするんだ。
俺はお前のとこより、ずっと先、何年も未来にいるんだよ」
「未来?」