表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の獣のまったりライフ   作者: 葉月秋子
153/225

10

10



 子供を怖がらせるな、この研究馬鹿たちめ!


 ステルツ教授はもどかしさで爆発寸前。

 こんな一年生を異端審問などにひきずりだしおって。

「深森の賢者」、魔道使いの最高峰たちだろうが、子供の扱いは最低だ。

 

 しかし、学院長ならともかく、一介の教授には口を挟むだけの権力もなかった。



 委縮して返答もろくに出来ぬノアに苛立ち、一人が降りて来てノアに近づく。


「どれだけ異質な魔力なのだ。見せてもらおうか」


 のしかかるように近づいた黒い背の高い男、そのローブから大きな手が伸びて・・・

 魔力が流される、と感じた途端、ノアの中でかちり、と何かが動いた。



 ノアの緊密で滑らかな魔力はきつく、固くかたまり、流れ込もうとする砂利を跳ね返す。

 手加減した軽い接触だったが、ぱしり、と魔力をはじき返された相手は驚いて手を引いた。


「・・・いやだ・・・」

 両手で肩を抱き、顔を伏せたノアは、食いしばった歯の間から言った。

「いやだ・・・触るな・・・もう、いやだ・・・」



 魔力がないからって放り出されて、また戻されて、また拒否される。

 あれをしろ、これになれ、と意志の無いおもちゃみたいに、僕を勝手に振り回して。

 ただ一つ大切だったローランディアの家族を、あんたたちが壊した。

 父上、母上、マリアン、ねこさん、みんなもういない。

 また僕は、一人ぼっちだ。



「あんたたちなんか大嫌いだ!ダーラムシアなんて大嫌いだ!」



 激しい叫びと共に、固く巻き込まれた魔力がばっとはじけた。



 ノアを中心に渦巻いた青い炎は、目の前の黒いローブに襲い掛かる。

 絶叫と共に、炎に包まれる男。

 大きく開いたかぎづめのような燃える右手が、眼を見開いて驚愕するノアの前に突き出され・・・


 ノアの意識は、そこで途切れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ