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ローブたちはノアを冷たく見下ろして、話し始める。
「これが魔無しのローランディアで育てられた王子か」
「魔力測定がこの数値で、なぜ学園に入れた?」
「王族特権で無試験で入学だ」
「王族重視の弊害だな」
「だが教師の話では、この少年の魔力は水晶測定に現れぬという」
「それは・・・」
説明しようとしたステルツを真ん中のローブが遮る。
「同席は認めたが、発言は許してはおらぬ。教授」
悔しそうに身を引く教授が存在しないかのように無視して、ローブたちは話を進める。
「ローランディアの人間が、そなたに魔法の手ほどきをしたのか?」
問われたノアは、首を振る。
魔法を教えてくれたのは、人間じゃなく、マリアンの犬、『ねこさん』だ。
「礼儀知らずめ、しっかり返答せぬか!」
一人が噛みつくように言う。
「は・・・はい・・・」
「手ほどきを受けたのだな!」
「は・・・いいえ・・・」
先の答えはいいえで、後の返事ははい・・・
「どっちだ!はっきりせんか!」
「次席の、相手は十にもならぬ子供だぞ」
「そんなに威圧しては返答も出来ぬわ」
「どうだ、魔力を使わせてみろ。
杖もなく、無詠唱で使えるそうだな」
「よし、炎の初期魔法を発動させてみよ」
「・・・」
もう、ノアは魔力を巡らせることも出来ず、緊張と混乱でがちがち。
「どうした、魔力を見るだけだ。詠唱してもよいぞ。
我に続けて言ってみろ。
『始原の炎よ、我のもとへ』と」
「し、始原のほにょ・・・」
あ。噛んだ・・・