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俺の成長は速い。
あっという間に、姫さんが抱っこ出来ない大きさになった。
だ、だから抱っこは無理だって。
『ぐえっ!』
く、首絞めないで・・・。
まだ幼犬のふわふわの毛だけど、毛色は明るく金色に。
まだ首の毛は貧弱だけど、ちゃんと胸は白。額から鼻にかけて白い筋。
耳も立ち、先がちょっと曲がっているから走るとパタパタ揺れるんだ。
肉球は固くなっちゃったけど、濡れた鼻と爪は真っ黒だ。
全身が灰鼠色だった頃とは大違い。
(だれだ。泥色だったなんて言う奴は)
予想通り母のラスに似てきたと、姫さんの父さんが自慢するが、何のこっちゃか。
父さん、この頃忙しいらしい。
お茶の時間に一緒にいないことが多くなり、姫さんたちは寂しがってる。
中庭で金属の服を来た人たちとガンガン遊んでいるくせに。
俺も参加ーっ、と跳んで行ったら、母にべしっと押さえつけられた。
大人の邪魔をしちゃいけないって。
ちぇっ。
重そうな金属の服の大人たちとか、連れてこられる大きな馬とか、熱い鉄の匂い、新しい革の匂い、金属を打ち合わせる音、叩く音。
中庭はすごく騒がしくなっている。
生後四か月を過ぎました。
母犬の名ラス、Lassはスコットランド語で「お嬢さん」という意味。
愛称はLassy。
そう、名犬ラッシー。