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「魔力が砂利」と、ノアは形容した。
魔素から変換しただけの生の魔力は、砂利のように粗雑で、不均一。
それを「練り」、均一に、滑らかに体内を巡らせるようにする。
理屈はわかる。しかし実行は難しい。
どうしたらあんなに水のように自在に流すことが出来るのか。
「すごーく集中して、少し動くけど。練って流すなんてまだまだ無理」とジャニーン
「動くけど、流す?」これはノーラン。
「動かすのも難しいのに」ダリル。
必死で体内の魔力を探る生徒たち。
だが、記録を取るカール教授の顔はさえない。
自分には、出来ないのだ。
粗いままの魔力を扱い慣れ、そのまま魔法として発動出来てしまう熟練者には、かえってその魔力の粗さが把握出来ないのだった。
「これで現役の魔導師たちを納得させるのは至難の業だぞ」
学院長室でステルツ教授の報告を受けたラダスターンは、顔を見合わせ、頭をかかえてしまった。
自分で出来ないことを、どうやって頭の固い年寄りたちに説明できるだろう。
我等こそ国一番の魔法集団なり、とふんぞり返っている長老たちに。
しかし、その直後。
部屋の中央に、音もなく出現した黒いローブの人影に、二人は驚いて立ち上がったのだった
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